会長声明

2004/01/05

有事法制関連7法案等の成立にあたっての会長声明

2004年(平成16年)6月14日
第二東京弁護士会  会 長  山  田  勝  利

 本日、国民保護法案他いわゆる有事法制関連7法案及び条約承認3案件が参議院本会議で可決され、成立した。これら有事法制関連7法案等は、その基本法である武力攻撃事態法等の有事法制3法とともに、国の防衛のあり方を定める極めて重要な法案であるが、同時にそれは、日本国憲法の基本原理である恒久平和主義と基本的人権尊重主義に抵触する恐れなしとは言えないものである。そこには、幾重もの国民的議論を経てゆるぎない国民的コンセンサスの形成がなければならない。

 然るに、有事法制3法案の制定過程から本日の有事法制関連7法案等の成立に至るまで、国民に対して、果して如何ほどの説明がなされたであろうか。憲法9条等との関係、法制法案の内容、外国法との比較、想定事態等について、如何ほどの国民的議論が展開され、如何ほどのコンセンサスが得られただろうか。極めて疑問である。
 加えて、成立した法律は、その曖昧な規定文言の故に、解釈運用によっては国民の自由と財産の広汎な制約につながりかねない危険性を有している。

 日本国憲法は、平和国家の高遠な理想を強く宣言し、戦争の悲惨な体験とその反省を背景に、基本的人権の根底に存する最も基礎的な条件として、「平和のうちに生存する権利」が現実の社会生活のうえに実現されるべきことを宣明している。戦争の脅威を排し基本的人権を追求していくことは、我々弁護士の使命である。

 ここに当会は、国際協調主義に則り、非軍事的方法を真摯に模索探求し、平和主義を実現していくことこそが基本的人権の尊重であることを確認し、今後、有事法制3法及び有事法制関連7法等の発動が決してなされることのないよう強く求めるものである。

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