会長声明

2003/09/12

死刑執行に関する会長声明

2003年(平成15年)9月12日
第二東京弁護士会  会 長 尾崎 純理

  1.  本日,大阪拘置所において向井伸二死刑確定囚に対し,死刑の執行が行われた。
  2.  国際社会は死刑の廃止に向かう潮流のなかにあり,2002年1月現在, 死刑の存置国・地域が84なのに対し,廃止国・地域はヨーロッパを中心に 111と大きく上回るに至っている。国連においても,1989年,国連総会においていわゆる「死刑廃止条約」が採択され,また国際人権(自由権)規約委員会は,1993年及び1998年の2回にわたり,日本政府に対し,死刑廃止に向けた措置をとるように勧告している。
     欧州評議会もまた,2001年6月,日本とアメリカに対し,死刑執行の一時停止を行い,早急に死刑制度を廃止するように促す旨の決議を採択している。
  3.  日弁連は,2002年11月,「死刑制度問題に関する提言」を公表し,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし,また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱した。
     国会においても,「死刑廃止を推進する議員連盟」が死刑執行の停止を含 む法案の提出を目指すなど,死刑制度の存廃をめぐる国民的議論が行われているところである。
  4.  このようななか死刑の執行が行われたものであり,誠に遺憾であって,強く抗議するものである。当会は,法務大臣に対し,このような死刑をめぐる国際的潮流を踏まえ,死刑存廃に関する国民的議論が尽くされるまで,死刑の執行を停止するよう重ねて要望するものである。

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