会長声明

2003/10/07

司法修習生の給費制堅持を求める会長声明

2003年(平成15年)10月7日
第二東京弁護士会  会 長 尾 崎 純 理

 司法制度改革推進本部の法曹養成検討会は、先般司法修習生の給費制に関し、給費制を廃止し、貸与制への移行を検討するとの座長とりまとめをした。その背景には厳しい財政事情がうかがえるが、法曹養成の国家的使命を考えるならばまことに遺憾である。

 法曹は、市民の権利を擁護し社会正義を実現し、もって「法の支配」を実現する極めて公共性、公益性の高いプロフェッションであるから、その養成を国費で行うことは社会の要請するところであり、国の一時的財政事情により左右されることがあってはならない。

 司法修習生は、司法研修所長の監督に服し、実務修習中は実務庁会の監督を受け、修習専念義務を負い、兼職を禁じられ、守秘義務を課せられている準公務員であって、その反面、これら義務と職責を生活の不安なく果たせるよう司法修習生に給与を支給し、もって法曹養成の公共的役割を堅持する関係にある。給費制の廃止はこれを覆し、更には任官者のみが返済を免除される貸与制を採用した場合、弁護士の業務が司法の担い手として高度の公共性を有する点において他の二者と変わるところはないにも拘わらず、不合理極まりない不平等を招来し、われわれが目標とする法曹一元の理想の妨げとなるものである。

 給費制の廃止は、貸与制の採否にかかわらず、法科大学院卒業生に更に荷重な負担を強い、多様な社会経験を有する社会人、被扶養者を抱える者にも法曹への道を開き、法曹の給源を広く国民一般に求める今次司法改革の理念に反し、われわれが目標とする「大きな司法」の理想に照らし、到底容認できるものでない。新司法修習制度においても給費制度を維持することは国家の責務である。

 よって、当会は、司法修習生の給費制廃止に反対するのみならず、関係機関に働きかけその堅持、充実を図るため、日本弁護士連合会と共に会を挙げて取り組むことを表明する。

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