会長声明

2006/12/26

死刑執行に関する声明

2006年(平成18年)12月26日
第二東京弁護士会 会長 飯田 隆

 昨日、東京拘置所、大阪拘置所、広島拘置所において、計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

 当会は、本年9月28日、「死刑執行停止法の早期制定を求める会長声明」を発し、更に本年12月15日には、法務大臣に対し、死刑確定者96名に対し、死刑の執行を行わないよう要請した。しかるに、当会の事前の要請を無視して、死刑が執行されたことは、誠に遺憾である。

 国際社会は死刑の廃止に向かう潮流のなかにある。死刑廃止条約が1989年12月15日の国連総会で採択され(1991年発効)、1997年4月以降毎年、国連人権委員会(2006年国連人権理事会に改組)は「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけを行った。このようななか死刑廃止国は着実に増加し、1990年当時の死刑存置国96か国、死刑廃止国80か国(法律で廃止している国と過去10年以上執行していない事実上の廃止国を含む。)に対し、2006年11 月21日現在、死刑存置国68か国、死刑廃止国129か国と、死刑廃止が国際的な潮流となっていることは明らかである。

 他方、我が国では、4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)における再審無罪にみられるとおり、死刑判決にも誤判が存在することが明らかとなっている。昨年4月5日には、名張毒ぶどう酒事件の再審開始が決定し、同事件についての死刑執行は法的に停止されている。にもかかわらず、死刑事件について誤判が生じた制度上、運用上の問題点の解明も、誤判防止のための制度改革も、いまだ十分になされていない。誤判を防止する抜本的な改善がなされない限り、少なくとも死刑の執行をすべきではない。

 日本弁護士連合会は、2004年(平成16年)10月の人権擁護大会において、日本政府および国会に対し、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)を制定することを求める決議を採択した。当会も、この決議を踏まえて、死刑が執行されるつど、法務大臣に対して死刑執行の停止を求め、さらに会長声明を発し、死刑執行停止法の早期制定を求め、また死刑執行停止要請を行ったものである。

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