会長声明

2007/06/27

教育関係「改正」三法成立に関する会長声明

2007年(平成19年)6月27日
第二東京弁護士会 会長 吉成 昌之

 去る6月20日、参議院本会議において、学校教育法、地方教育行政組織法、教育職員免許法などの「改正」三法(教育関係改正三法)が可決成立した。

 当会は、教育関係改正三法案の衆議院可決にあたり、6月4日の「会長声明」において、同法案には、憲法および教育基本法の立憲主義的な性格から看過しがたい多数の問題点があることを指摘し、参議院での慎重な審議を求めるとともに、これらの問題点を何ら解消しないままでの法案の成立に反対してきた。現に、参議院での法案審議をみても、旭川学力テスト事件最高裁大法廷判決(1976年5月21日)の基準に基づく教育基本法16条1項の「教育は不当な支配に服することなく」という原則には何ら変更がないとの政府答弁にもかからず、参考人や公述人らからは、なお問題点と否定的意見が多く出された。

 教育関係改正三法案は、今後の学校教育のあり方を決定付ける重要法案であり、教育現場での思想信条の自由や子どもの教育を受ける権利・学習権を侵害することのないよう、国民に対し広く開かれた議論を尽くし、問題認識や理解、運用基準などを国民の間において共有することが、良識の府・参議院に強く求められていた。それにもかかわらず、十分な審議がなされなかったことは、文教科学委員会で22項目にもわたる附帯決議がなされたことからも明らかといえる。
 多数の問題点が解消されないまま、教育関係改正三法が成立に至ったことはまことに遺憾である。

 本教育関係改正三法は、教育の自主性・自律性を害し、地方分権化の流れにも逆行して、国による教育内容の統制を図ろうとするものであり、思想信条の自由、教育を受ける権利・学習権を侵害するおそれがきわめて大きいものである。当会は、教育関係改正三法の運用において、国の「不当な支配」による教育内容の統制や、内心の強制につながる教育行政が決して行われないようにすることを強く求めるとともに、適正な運用がなされるよう不断の取り組みを強化する決意である。

もどる