会長声明

2007/07/12

暴力と脅迫を許さず、弁護活動の自由を守る会長声明

2007年(平成19年)7月12日
第二東京弁護士会 会長 吉成 昌之

 広島高裁に現在係属中の殺人等被告事件に関し、先に日本弁護士連合会宛に当会会員を含む弁護団を脅迫する書面等が送られてきたが、報道によれば、同連合会に送付されたものと類似のものが新聞各社にも送られていたとのことである。当会は、この事態を深刻に受けとめ、ここに改めて暴力と脅迫から弁護士と弁護活動の自由を守る決意を表明する。
 憲法37条3項は、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる」と規定する。いかなる場合であっても、刑事被告人には弁護人を依頼する権利が保障され、十分な防御の機会が与えられなければならない。これは、被告人に適正な裁判を受ける権利を保障するものであり、人類が歴史を通じて確立してきた大原則である。この原則は、いかなる時代にあっても、実現されなければならず、また弁護人は、被告人のために最善の努力をすべき責務を負っている。
 価値観が多様化し、複雑な権利関係が鋭く対立する現代において、国内外を問わず、力によらず、言葉により基本的人権の擁護と社会正義の実現をめざす弁護士の役割は、民主主義の基盤として、ますますその重要性を増している。
 国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は、第1条において人権と基本的自由を適切に保護するため「すべて人は、自己の権利を保護、確立し、刑事手続のあらゆる段階で自己を防御するために自ら選任した弁護人の援助を受ける権利を有する」と定め、第16条において「政府は、弁護士が脅迫、妨害、困惑あるいは不当な干渉を受けることなく、その専門的職務をすべて果たしうること、自国内及び国外において、自由に移動し、依頼者と相談しうること、確立された職務上の義務、基準、倫理に則った行為について、弁護士が、起訴あるいは行政的、経済的その他の制裁を受けたり、そのような脅威にさらされていないことを保障するものとする。」と定めている。
 当会は、上記国連原則に則り、広く市民と、弁護士および弁護活動に対する暴力や脅迫が民主主義への挑戦であるとの共通の理解に立って、今回のような脅迫行為を決して許さず、憲法の要請する弁護活動の自由を守るため、改めて全力を尽くす決意である。

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