会長声明

2008/01/10

「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」の再議決に反対する声明

2008年(平成20年)1月10日
第二東京弁護士会 会長 吉成 昌之

 「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」は衆議院で可決された後、現在参議院で審議されている。同法案が参議院で否決された場合、政府与党は憲法第59条第2項により衆議院で再議決を強行する方針でいるとのことである。しかし、当会は、以下の理由により、同法案の再議決に強く反対する。
 すなわち、同法案は、「テロ対策海上阻止活動」に対する自衛隊の「補給支援活動」を基礎付けるものであるところ、同法案第3条第1号によれば、「テロ対策海上阻止活動」は、諸外国の軍隊等がテロリストや武器の移動を「阻止」「抑止」するためインド洋上を航行中の船舶に対し「検査、確認その他の必要な措置をとる活動」と定義されており、これは、諸外国の軍隊の「武力による威嚇」又は「武力の行使」による「阻止」を含むものとなっている。そして、諸外国の軍隊の「テロ対策海上阻止活動」に対する自衛隊の給油活動等の「補給支援活動」は、諸外国の軍隊の「武力による威嚇」又は「武力の行使」と一体のものとなることは明らかである。
 日本国憲法第9条は、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇又は武力の行使を禁じており、自衛隊の上記「補給支援活動」は、この憲法第9条に定める武力行使の禁止に抵触するおそれがあるものであり、このため国会においても、また国民の間でも同法案についての賛否の意見は大きく別れている。
 このように憲法第9条に定める武力行使の禁止に抵触するおそれがあり、また国会でも国民の間でも意見が大きく別れる同法案を衆議院で再議決することは相当でない。当会は、同法案の衆議院での再議決に強く反対する。

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