会長声明

2008/06/20

消費者の被害の防止と救済を図る強力な権限を有する消費者庁の設置を求める会長声明

2008年(平成20年)6月20日
第二東京弁護士会 会長 庭山正一郎
08(声) 8号

 本年6月13日、消費者行政推進会議は、最終報告書を取りまとめ、「消費者の視点で政策全般を監視し、『消費者を主役とする政府の舵取り役』として、消費者行政を一元的に推進するための強力な権限を持った新組織を創設する」とし、その新組織として消費者庁を発足させることを提言した。
 同報告書によれば、その組織内容は、行政に対する消費者の信頼性の確保を重視し、被害防止と救済を迅速で実効性のある効率的なものとするために、法律の所管を変更し、十分な予算措置を施すものとしている。この内容は、これまで日弁連をはじめとして各消費者団体が求めてきた内容を盛り込んだものであって、大いに期待できるものである。
 当会は、他の単位会と協力して、豊田商事事件、ココ山岡事件、大和都市管財事件、ジーオー事件に取り組んできたほか、最近では近未来通信事件、L&G事件、ワールドオーシャンファーム事件など大規模被害の救済に取り組んできた。しかし、これらに共通していることは、被害が多発しているにもかかわらず十分に消費者に情報が伝わらず、被害予防が十分できなかったこと、被害金を回収できずその救済が困難を極めたことである。そして、その原因としては、行政の法令所管が区々である一方で、監督官庁が同時に産業育成官庁でもあるという限界から、消費者被害対策が後手に回ってきたことが指摘されてきた。
 消費者被害は、行政のあり方にかかわらず、金融商品、食品、消費者信用、住宅リフォームなど多様な形態で発生する。これらの消費者被害を予防し迅速かつ実効的に回復するためには、どうしてもこれまでの法令の所管にかかわらない一元的で強力な監督・執行力を有する行政とその行政組織が行う統一した消費者政策が必要である。
 当会は、今後、速やかに、同報告書の内容を実現し、明確な形で消費者行政が国の行政の柱となるように、強力な総合調整権限、勧告権を付与する組織法を制定するとともに、それにふさわしい予算措置、人員配置を行うこと、各省の縦割りを超えて幅広い分野を対象とした横断的立法のほか、被害を受けた消費者救済のために政府が私人に代わって訴訟を行う父権訴訟制度や違法収益をはき出させて全ての被害者を実効的かつ迅速に救済するための法整備を行うことなど、緊急に必要な措置を政府ならびに国会に対して求めていく。
 さらに、消費者被害の防止と救済は、国と地方が一体となって消費者行政を強化することが必要である。当会は、地方自治体においても消費者行政を公共サービスの柱と位置づけ、消費者相談員の地位を向上させるとともに、身近な消費者教育、情報提供、事故分析、被害救済が可能となるよう十分な予算措置をとるとともに人員の重点配分を行い、充実した取組みを行うことを求めるものである。

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