会長声明

2008/09/26

大和都市管財国家賠償訴訟・控訴審判決に関する会長声明

2008年(平成20年)9月26日
第二東京弁護士会 会長 庭山正一郎
08(声) 10号

 本日、大阪高等裁判所は、大和都市管財国家賠償請求事件について、昨年6月6日に出された大阪地方裁判所判決を維持し、再度、国の責任を認め、一審原告ら被害者の被害賠償を命じる判決を言い渡した。
 大和都市管財事件は、独立系の抵当証券会社である大和都市管財株式会社の破綻により、被害者1万7000名、被害総額1100億円という大被害が明らかになった、「第二の豊田商事事件」と称される詐欺被害事件であり、大和都市管財が破綻した直後の平成13年4月には、東京三弁護士会は協力して、被害者対応のために、被害者説明会を開催し弁護団の立ち上がりを支援した。
 本日の判決は、一審の判断を維持したうえで、さらに控訴審で取り調べられた事情も加え、当時の近畿財務局長の抵当証券業規制法上の更新登録について、監督規制権限の恣意的不行使ともいえると指摘し、当該具体的事情の下においては、本件更新登録は許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとして国家賠償法上の適用上違法であることを認め、被害者救済を命じたものであり、その判断は高く評価される。
 当会は、本年6月20日に「消費者の被害の防止と救済を図る強力な権限を有する消費者庁の設置を求める会長声明」を発し、政府が発足させようとしている消費者庁に対し大いなる期待を寄せているところである。当会は同声明で、消費者被害救済が困難を極めた原因として、「行政の法令所管が区々である一方で、監督官庁が同時に産業育成官庁でもあるという限界から、消費者被害対策が後手に回ってきたこと」を指摘するとともに、消費者被害を予防し迅速かつ実効的に回復するためには、「どうしてもこれまでの法令の所管にかかわらない一元的で強力な監督・執行力を有する行政とその行政組織が行う統一した消費者政策が必要である。」と指摘した。本日の大阪高裁判決は、まさに、これまでの行政組織が消費者保護の視点から適時適切に監督権限を行使してこなかった実態を改めて認定したのである。大和都市管財事件のような悲惨な事件を二度と繰り返さないためにも、「消費者の視点で政策全般を監視し、『消費者を主役とする政府の舵取り役』として、消費者行政を一元的に推進するための強力な権限を持った新組織を創設する」必要がある。
 当会は、国に対し、今回の大阪高裁判決を真摯に受け止め、消費者被害の防止と被害救済に真剣に取り組むよう求めるとともに、今後も市民の求めに応え、市民1人1人の権利を守り、社会正義を実現する活動をしていくことを表明する。

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