会長談話

2009/08/06

スタートを切った裁判員裁判に関する会長談話

2009年(平成21年)8月6日
第二東京弁護士会 会長 川崎達也

 全国初の裁判員裁判となった東京都足立区の殺人事件の公判が終わりました。弁護人を務めたのは当会刑事弁護委員会の元委員長である伊達俊二会員と現委員長である吉田繁實会員の二人でした。また、被害者参加弁護士は、当会犯罪被害者支援委員会委員長の番敦子会員でした。まさに、当会会員が、全国初の裁判員裁判を支えたというのが実感です。
 公判では、日弁連が夙に申し入れていた裁判員入廷前の手錠・腰縄の解錠、退廷後の施錠が実施され、また、被告人の着席位置を弁護人の隣とするなど従来の刑事裁判にはなかった配慮がなされました。何より、3日間の審理を通じ、検察官、弁護人の法廷戦術、パワーポイントの見やすさ、言葉遣いと説得力、話のスピード、裁判員とのアイコンタクトの有無等が法曹関係者だけでなく、マスコミ、一般市民等からも評価の対象となり、「見て聞いて分かる裁判」の名に値するかどうかが大いに語られたことは、国民と司法との距離が格段に近づいたことを物語るものといえます。
 なお、審理最終日までに裁判員の全員が証人あるいは被告人に対し質問をしたのは、積極的に裁判に関わろうとする意欲と姿勢の表れと言え、今後、市民の皆さんからの裁判員裁判に対する理解と支持を期待することができると思いました。
 判決結果は、懲役15年(求刑16年)でした。殺意の強弱、犯行のきっかけとなった被害者の態度やその背景事情等の争点を踏まえた結果だと思います。伊達、吉田両会員とも全力を傾けたと語っていましたが、すでに次の裁判員裁判に向け新たな闘志を燃え上がらせていました。
 裁判員裁判制度は国民の理解と裁判員の協力のもとで順調なスタートを切ったと言えましょう。
 裁判員裁判が市民の皆さんの理解を得てわが国に定着することを強く希望します。

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