会長声明

2010/04/19

全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

2010年(平成22年)4月19日
第二東京弁護士会 会長 栃木敏明
10(声)第1号

 少年事件における弁護士付添人は、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正になされるよう法的援助を行うなど多岐にわたる活動を行い、少年の権利擁護と更生に大きな役割を担っている。
 しかし、現在、少年に国選付添人が選ばれるのは、一定の重大事件かつ家庭裁判所が裁量によって必要性を認めた例外的な場合に限られている。そのため、2008年の全国統計によれば、弁護士付添人の選任率は少年鑑別所に収容された少年の約40%、少年審判を受ける少年全体の約8.5%にとどまっている。少年の付添人選任率は、成人の被告人の弁護人選任率約98.7%と比べて著しく低く、このように少年の権利擁護が不十分な状況は早急に改善される必要がある。また、2009年5月から、被疑者国選弁護制度の対象事件が必要的弁護事件に拡大されたことによって、「捜査段階で国選弁護人から援助を受けることができた少年が、家裁送致段階になると国選付添人から援助を受けることができない」という制度的な矛盾も生じるに至っている。
 もとより、日本弁護士連合会も、全国の会員の特別会費による少年保護事件付添援助制度を設けて、裁量的国選付添人制度の対象となっていない少年事件の少年や保護者に対して弁護士費用を援助し、また、当会においても、少年鑑別所に収容された少年や保護者からの要請を受けて無料で弁護士を派遣する少年当番弁護士制度を実施してきた。しかし、全面的な国選付添人制度は、国の責務において実現されるべきである。このことは、「自由を奪われたすべての児童は、…弁護人と速やかに接触する権利を有する」と規定した子どもの権利条約第37条(d)や「刑法を犯したと申し立てられた全ての児童は、…防御の準備及び申立において弁護人を持つこと」と規定した同条約第40条2項(b)からも明らかである。
 そこで、当会は、少年鑑別所に収容された少年が行動の自由を奪われたうえに、重大な処分を受ける可能性が高いため、弁護士の法的援助が必要不可欠であることから、国選付添人制度の対象事件を少なくとも少年鑑別所に収容された少年の事件全件にまで拡大するよう国に対し強く求める。
 それと同時に、当会は、拡大に対応しうる国選付添人名簿の充実を図るべく経験交流等を含めた研修をなお一層推し進める所存である。

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