決議

2011/03/03

全面的国選付添人制度の実現を求める決議

2011年(平成23年)3月3日
第二東京弁護士会

決議

 当会は、国に対して、国選付添人制度の対象事件を、少なくとも観護措置決定によって少年鑑別所等に収容され、身体を拘束された少年の事件全件にまで速やかに拡大するよう強く求める。

以上のとおり決議する。


決議理由

 少年事件における弁護士付添人は、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正になされるよう法的援助を行うなど多岐にわたる活動を行い、少年の権利擁護と更生に大きな役割を担っている。
 しかし、現在、少年に国選付添人が選ばれるのは、一定の重大事件で、家庭裁判所が裁量によって必要性を認めた例外的な場合に限られている。そのため、弁護士付添人の選任率は、以下にとどまっている(2009年の全国統計)。
 (1) 少年鑑別所に収容された少年の、約54.6%
 (2) 少年審判を受ける少年全体の、約11.3%
 少年の付添人選任率は、成人の被告人の弁護人選任率がほぼ100%であるのと比べて著しく低い。このように少年の権利擁護が不十分な状況は、早急に改善される必要がある。
 また、2009年5月から、被疑者国選弁護制度の対象事件が、必要的弁護事件に拡大された。そのことによって、「捜査段階で国選弁護人から援助を受けていた少年が、家裁送致段階になると国選付添人から援助を受けることができない」という制度的な矛盾も生じるに至っている。
 この点、少年鑑別所等に収容された少年は、行動の自由を奪われたうえに、重大な処分を受ける可能性が高いため、弁護士の法的援助が必要不可欠である。
 もとより、日本弁護士連合会も、時限的な措置として、全国の会員からの特別会費による少年保護事件付添援助制度を設けて、裁量的国選付添人制度の対象となっていない少年事件の少年や保護者に対して、弁護士費用を援助している。また、当会においても、少年鑑別所に収容された少年や保護者からの要請を受けて無料で弁護士を派遣する、少年当番弁護士制度を実施してきた。
しかし、捜査から審判に至る一連の手続における適正な手続の保障と、少年の更生の支援は、このような弁護士会による自主的な援助制度などではなく、国の責務において実現されるべきである。このことは、子どもの権利条約が、第37条(d)において、自由を奪われたすべての児童は、弁護人等と速やかに接触する権利を有すると規定していること、および第40条2項(b)において、刑法を犯したと申し立てられたすべての児童は、防御の準備及び申立てにおいて弁護人その他適当な援助を行う者を持つことを保障されると規定していることからも明らかである。
 そこで、当会は、国に対して、国選付添人制度の対象事件を、少なくとも観護措置決定によって少年鑑別所等に収容され、身体を拘束された少年の事件全件にまで速やかに拡大するよう強く求める。
 それと同時に、当会は、拡大に対応しうる国選付添人名簿の充実を図るべく、経験交流等を含めた研修をなお一層推し進めるものである。

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