会長声明

2011/07/07

労働者派遣法の抜本改正のための早期審議入りを求める会長声明

2011年(平成23年)7月7日
第二東京弁護士会 会長 澤井 英久
11(声)第5号

 当会は、2009年6月4日、「労働者派遣法の抜本改正を求める会長声明」を公表し、労働者派遣法の抜本改正を求め、改正に当たっては、(1)派遣対象業務を専門的なものに限定して派遣が雇用の例外的な形態であることを明らかにすること、(2)登録型派遣、日雇派遣を全面的に禁止し、雇用と生活の安定を図るべきこと、(3)派遣可能期間経過後の派遣について、直接雇用に移行するみなし規定を設けること等を提言した。
 政府は、その後、2010年3月、労働者派遣法の一部改正法案を国会に上程した。
 同法案は、(1)法律の名称・目的に労働者保護を明記し、(2)登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止し、(3)違法派遣についての直接雇用申込みみなし規定を創設するなど、不十分ながら労働者保護の観点から一定の規制強化に踏み込む内容となっている。
 ところが、同法案の審議は、国会情勢の影響もあり、実質的に止まったままであり、今通常国会においても審議入りの見通しは立っていない。
 労働者派遣法改正の機運が高まったことから、各企業においても直接雇用を増やす動きが少しずつ出てきているところであるが、法改正見送りが確実となると、現行法がそのまま残ってしまうため、再び労働者派遣へのシフトが強まり、不安定雇用が増加する危険性がある。
 派遣法改正をめぐっては、雇用の不安定な派遣労働者の救済を求める声が強まり、また、女性労働者の多くが派遣労働者として不安定・低賃金のもとで就労してきた実態も広く知られるようになるなか、日本弁護士連合会も、抜本改正を強く求めて、「真に労働者保護に値する労働者派遣法抜本改正を求める会長声明」を公表しているところである。また、今回の東北大震災・福島原発事故により、企業活動に悪影響が及び、労働者派遣契約が打ち切られ、派遣労働者の雇用が消失する事態も懸念される。このような事態を防止するためにも、労働者派遣法の改正が求められている。
 当会は、非正規労働者の雇用の維持、その権利擁護のため、国会において、労働者派遣法の抜本改正に向けた審議を開始し、充実した議論の中で当会の求める抜本改正がなされるよう強く求めるものである。

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