会長声明

2011/12/28

憲法審査会の始動にあたっての会長声明

2011年(平成23年)12月28日
第二東京弁護士会会長 澤井 英久
11(声)第6号

 2011年10月20日、衆議院及び参議院において各憲法審査会の委員が選任され、同月21日には第1回の会合が開催されて、会長、幹事が選出された。その後も各憲法審査会における諸会合が開催されており、参考人招致も行われている。
 当会は、以下のとおり、憲法審査会の法的根拠である憲法改正手続法の成立及び施行に反対し、同法の見直し・改訂を再三にわたり強く求めてきたものである。
(1)2006年5月31日、「憲法改正国民投票法案に反対する会長声明」において、衆議院に提出された与党案と民主党案に憲法上看過し得ない重大な問題点があることを指摘し、投票運動の禁止と罰則規定、組織的多数人買収・利害誘導罪の設置、発議から投票までの周知期間、国民投票無効訴訟のあり方を見直すべきであること、国民の承認には投票総数の過半数の賛成を必要とするとともに、最低投票率に関する規定を設けるべきであることを述べた。
(2)2006年9月7日、「憲法改正国民投票法案に関する与党案・民主党案についての意見書」において、上記の点のほか、憲法審査会の常置は疑問であることを含め、より詳細に同法案の問題点を論じた。
(3)2007年4月16日、「『日本国憲法の改正手続に関する法律案』の参議院での慎重審議と最低投票率の導入を求める会長声明」において、同法案の衆議院での強行採決後、改めて同法案の各問題点に言及した。
(4)2007年5月15日、「憲法改正手続法に最低投票率の導入等を求める会長声明」において、同法成立後も引き続き同法の問題点を指摘した。
(5)2010年4月22日、「『憲法改正手続法』の施行延期を求める会長声明」において、国会が、同法に関する附帯決議事項を含め、抜本的な見直しをしていないことを指摘し、同法の施行延期を求めた。
 これらの指摘にもかかわらず、同法は2010年5月18日に完全施行された。その施行を前提として、同法の各問題点が見直されずに、上記のように各憲法審査会が始動したことは、誠に遺憾である。
 当会は、改めて、憲法改正手続法の抜本的な見直しを求める。

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