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更新日:2013年08月05日

第二東京弁護士会 会長 山岸良太

平成25年8月

 日本は、明治維新以来、アジアの国々の中でいち早く欧米の文明を取り入れて富国強兵を進め、一時行き過ぎて先の大戦で軍事的に敗北してしまいましたが、平和国家として再び立ちあがり、1980年代にかけて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われるほどになり、アジアの先頭を切っていると自負していました。
 ところが、直近の「失われた20年間」を経て周囲を見回すと、いつの間にかアジアの中ですら遅れをとっている感があります。
 司法の分野でも法曹の役割を社会の隅々まで行き渡らせようと「司法改革」をしたものの、必ずしもうまくいっておらず、現在、法曹養成制度を含め大きく見直そうとしているところです。
 民事訴訟分野では、そもそも「司法改革」自体が十分なされず、訴訟手続や記録のIT化等については大きく遅れをとっています。行政訴訟分野でも、著しく事件数が少なく活用されているとはいえない状況です。刑事司法分野では、裁判員裁判は始まったものの、被疑者・被告人を勾留したままでの取調べが行われ、起訴後訴訟が始まってもなかなか保釈が認められないことや、取調べの「可視化」がなされておらず冤罪事件が後を絶たない状況は、前近代的とさえ言われています。そして、人権分野一般でも、国連等の国際的な人権機関・団体等からのわが国の評価は驚くほど低い状態です。また、弁護士業務の海外展開も、国際化は各国に比べあまり進展していない状況です。
 このような状況の中、社会全般において、明治維新の頃のような、外国の良いところを学ぶという気持ちが薄れており、外国から指摘や苦言を受けると反発してしまう驕りのようなものも感じられます。
 日本には、衣・食・住を巡る安心・安全な環境等優れたところが多くありますが、周囲の国々との立ち位置をもう一度良く見直し、学ぶべきところは学ばなければいけないのではないでしょうか。
 法曹養成制度の改革でも、韓国では、法科大学院を設け、司法試験に外国語(英語)科目を取り入れ、更に司法研修所を廃止し、一定の実務経験を経た弁護士から裁判官を採用する「法曹一元制度」を取り入れる、といった大きな制度改革をしました。家電等の分野でわが国は韓国に遅れをとってしまっているようですが、法曹界ではそのようなことのないように、心していかなければと考えています。

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