死刑執行に関する会長声明

LINEで送る
更新日:2012年09月27日

2012年(平成24年)9月27日
第二東京弁護士会会長 橋本 副孝
12(声)第4号

 本日、福岡、仙台の各拘置所において、それぞれ1名に対する死刑の執行が行われた。本年8月3日の死刑執行に続くものであり、2ヶ月続けての執行の強行であって、誠に遺憾と言わざるを得ず、強く抗議するものである。
 当弁護士会は、死刑制度が、かけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え、罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき、その可能性を完全に奪うという問題点を内包し、また裁判は常に誤判の危険を孕んでおり、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつかないという根本的な問題もあることから一貫して死刑の執行を停止するよう求めてきた。国際的に見ても、2012年(平成24年)現在の死刑廃止国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む。)は141か国、死刑存置国は58か国であって、世界の3分の2が死刑を廃止ないしは停止している。死刑廃止が国際的にも大きな潮流であることは明らかである。
 日本弁護士連合会においては、死刑のない社会が望ましいことを見据えて、昨年10月7日、第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択している。

 滝実法務大臣は、本年6月の就任後、短期間に4名に対する死刑を執行したものであり、死刑廃止についての全社会的な議論が尽くされる前に、その議論の前提となる情報も提供されないまま、死刑執行が繰り返されたものである。
 当弁護士会は、死刑のない社会が望ましいことを見据えて、死刑の執行を停止した上で、政府が死刑に関する情報を広く国民に公開し、死刑廃止についての全社会的議論を直ちに開始するよう重ねて求めるものである。

もどる