死刑執行に抗議する会長声明

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更新日:2013年09月12日

2013年(平成25年)9月12日
第二東京弁護士会会長 山岸 良太
13(声)第6号

 本日、東京拘置所において、1名に対する死刑の執行が行われた。谷垣禎一法務大臣による3度目の死刑執行であり、連続した執行であって、同大臣による死刑執行は合計6名に至っており誠に遺憾と言わざるを得ず、強く抗議するものである。
 当弁護士会は、死刑制度が、かけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え、罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき、その可能性を完全に奪うという問題点を内包し、また裁判は常に誤判の危険を孕んでおり、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつかないという根本的な問題もあることから一貫して死刑の執行を停止するよう求めてきた。
 国際的に見ても、2012年(平成24年)現在の死刑廃止国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む。)は140か国、死刑存置国は58か国であって、世界の3分の2が死刑を廃止ないしは停止している。また、死刑存置国のうち、2012年(平成24年)に実際に死刑を執行した国は、我が国を含め21か国にすぎなかった。死刑廃止が国際的にも大きな潮流であることは明らかである。
 日本弁護士連合会においては、死刑のない社会が望ましいことを見据えて、2011年(平成23年)10月7日、第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的な議論を呼びかける宣言」を採択している。
 本件は、第一審で無期懲役判決であったものが、控訴審で死刑判決となったものであり、裁判官の間でも判断が分かれている。裁判員制度において市民が死刑判決に関わらざるを得ず、困難な判断を迫られる状況の下で、死刑制度とその運用に関する情報の公開が進まずに公の議論が何ら行われないまま執行だけが繰り返されていることは、到底容認できない。
 当弁護士会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとることによって、死刑制度の廃止についての全社会的議論を直ちに開始するよう重ねて求めるものである。

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