商業登記規則等の一部を改正する省令案に関する会長声明

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更新日:2014年12月09日

2014年(平成26年)12月9日
第二東京弁護士会会長 山田 秀雄
14(声)第12号

 取締役、監査役又は執行役の就任の登記申請について、当該登記の申請書に本人確認資料の提出を求める法務省の商業登記規則改正案(新設の商業登記規則第61条第5項)について、基本的に賛意を表する。もっとも、提出を求める本人確認資料は住民票ではなく、当該取締役、監査役又は執行役等が就任の承諾をした事実を証する書面に押印をした印鑑の印鑑登録証明書を添付することとすべきである。

 悪質商法事案等において、①取締役等個人への責任追及の際に取締役個人の住所が判明しない(悪質なケースでは架空人名義で登記がなされている)事案や、②当該取締役から承諾の意思がないなどとして争われる事案が複数存在するところ、法務省の上記商業登記規則等の改正案は、これらを一定程度改善するものとして評価できる。但し、住民票は、「自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者」であれば、これを取得することが可能であり、住民票の不正取得・不正利用等が蔓延している現状等からすると、上記②の問題を改善するためには、必ずしも十分とは言い難いことから、本人確認書類としては印鑑証明書等の提出を求めるべきである。
 なお、登記申請に当たって上記の必要書類を添付させたとしても、これらが登記事項となる訳ではなく、また、附属書類の閲覧に際しては利害関係の存在が必要とされていることなどから(商業登記法第11条の2、商業登記規則第21条第2項)、取締役等のプライバシー等との関係においても、適切な均衡を図ることができる。
 よって、上記のとおり、意見を述べる。

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