東日本大震災発生から5年目を迎えての声明

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更新日:2015年03月11日

2015年(平成27年)3月11日
関東弁護士会連合会 理事長 若旅 一夫
東京弁護士会    会 長 髙中 正彦
第一東京弁護士会  会 長 神  洋明
第二東京弁護士会  会 長 山田 秀雄
14(声)第18号

 本日、2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災から丸4年が経過し、いよいよ節目となる5年目を迎えた。被災地の復旧・復興及びまちづくりは未だ途半ばである。今なお、避難生活を余儀なくされている被災者の方は約23万人に及んでいる。丸4年という月日は、自治体間あるいは個人間に復旧・復興の格差という新たな問題を生じさせ、被災者・被災地が抱える問題はますます複雑化・深刻化している。

 関東弁護士会連合会並びに東京弁護士会、第一東京弁護士会及び第二東京弁護士会(以下「東京三弁護士会」という。)は、発災直後に、関東弁護士会連合会では東日本大震災災害対策本部、東京三弁護士会では災害復旧復興本部をそれぞれ立ち上げ、電話相談や避難所相談、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の相談、被災地への各種支援等を実施すると共に、国や地方自治体に対し、二重ローン問題対策、福島原子力発電所事故被害の消滅時効期間の延長を求める働きかけなどを行ってきたが、まだ解決されていない問題も多い。

 まず、ほとんどの仮設住宅・みなし仮設住宅の期限は来年3月までとなっているため、多くの被災者・被害者が現に不安を抱えている。国と被災三県、そして避難先の各都道府県は、被災者の状況を調査し、できるだけ早急に使用期限を適切な時期まで延長すべきである。
 また、いわゆる二重ローン問題が十分に解決されていない。当初1万件の利用が見込まれていた個人版私的整理ガイドライン(被災ローン減免制度)の成立件数は、現時点で僅か約1200件である。その結果、戸建再建を希望していた被災者がこれを断念し公営住宅への入居を余儀なくされるなど、被災者の生活再建に悪影響を及ぼしている。更なる告知を行うなどして利用促進を促すと共に、立法化も含めた新たな制度を検討すべきである。
 さらに、災害関連死が増加し続けているにもかかわらず、自治体毎の認定格差の問題が一向に解決されず、多数の行政訴訟が提起されるなど、丸4年という月日が経過したにもかかわらず、解決されていない問題は多数に及んでいる。

 残念ながら被災地以外の地域では、震災及び原発事故の被害は厳然と存在するのに、社会的風化は進んでいる。しかし、関東弁護士会連合会及び東京三弁護士会は、これまでと変らず被災者・被害者の人権擁護のため、東日本大震災に関する諸問題の解決について、国や関係機関に対する積極的な提言を行うほか、今後とも被災者・被害者へ寄り添いながら法律相談などの支援活動をより一層力強く取り組むことをあらためて決意し、今後も全力を尽くすことをここに宣言する。

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