「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆるカジノ法案)の 廃案を求める会長声明

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更新日:2015年08月19日

2015年(平成27年)8月19日
第二東京弁護士会 会長 三宅  弘
15(声)第11号

 第189回通常国会に、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆるカジノ法案)が提出されている。同法案は、現行法上、賭博罪として違法とされているカジノを合法化し、民間賭博を解禁しようとするものであるところ、当会は、今国会に提出されたカジノ法案を廃案にするように求める。
 提出法案によるカジノの合法化と民間賭博の解禁は、現在の深刻なギャンブル依存症の問題を、さらに拡大させることが強く懸念される。厚生労働省の調査では、我が国のギャンブル依存症の有病率は4.8%(推定536万人)と報告されている。ギャンブル依存症は、患者のみならず家族らにも深刻な影響を及ぼす疾患であり、青少年の健全育成の観点からも問題がある。我が国においては、まずは、既に合法とされている競馬、競輪等の公営ギャンブルや我が国独自の遊技場としてのパチンコ等とギャンブル依存症との間の社会的・医学的因果関係を検証し、その結果に基づき、ギャンブル依存症を防止する対策を検討することが本来求められる。
 ギャンブル産業では、賭け金の多寡がギャンブル場開設者の収益の多寡を左右するので、開設者は顧客により多くの賭け金を拠出させるための技術革新や環境整備を志向する。しかし、これらは、ギャンブル依存症の拡大の危険と表裏の関係にある。カジノという我が国にとって新しい賭博が、民間の事業者に解禁されるときは、こうした傾向がさらに強まるおそれがある。
 カジノを合法化し民間賭博を解禁するには、カジノによる弊害を除くことができる具体的な措置の確保が不可欠である。しかし、法案では、上記のギャンブル依存症への対応、暴力団員等の排除、マネー・ロンダリングの防止、犯罪の発生の予防及び通報、風俗環境の保持等、弊害除去のために必要な措置は具体化されておらず、また、これまでのところそもそもこれらの諸問題へ適切に対応することができるか否かも、検証されていない。
 もとより、我が国においては、賭博が射幸心をあおり、勤労意欲を失わせ、勤労によって生計を維持するという国民の健全な経済・勤労の風習を堕落させることから、これを防ぎ、あわせて賭博に付随して生じる財産犯などの犯罪を防止するため、刑罰をもって賭博を禁止している(刑法185条、186条)。かかる法の趣旨に照らせば、カジノ法案によりその例外を認める合理性はない。
 上記の観点から、当会は、今国会に提出されたカジノ法案を廃案にするよう求める。

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆるカジノ法案)の 廃案を求める会長声明(PDF)

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