少年の実名報道についての会長声明

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更新日:2015年10月13日

2015年(平成27年)10月13日
第二東京弁護士会会長 三宅 弘
15(声)第14号

 本年9月14日発売の「週刊ポスト」は、1997年(平成9年)に起きた神戸連続児童殺傷事件の元少年について、元少年の事件当時の実名を挙げ、顔写真を掲載した。このような報道は、少年時の犯行について、氏名、年齢、職業、容ぼう等によりその者が当該事件の本人と推知することができるような記事又は写真の掲載を禁止した少年法61条に違反するものである。
 少年事件の背景には、家庭、地域、学校等における様々な要因が存在するから、少年個人への非難のみに比重を置くのではなく、少年の可塑性と成長発達の可能性を重視するべきである。このような見地から、少年法61条は、少年の更生・社会復帰を阻害する実名報道及び写真掲載を、事件の軽重、裁判終了の前後、又は少年が20歳に達したか否かを問わずに禁止し、少年及びその家族の名誉・プライバシーを保護することにより、少年の立ち直り、更生、再犯の防止を図ろうとするものである。
 国際的に見ても、子どもの権利条約40条2項は、刑罰法規を犯したとされる子どもに対する手続のすべての段階における子どものプライバシーの尊重を保障している。また、少年司法運営に関する国連最低基準規則(いわゆる北京ルールズ)8条も、少年のプライバシーの権利は、あらゆる段階で尊重されなければならず、原則として少年の特定に結びつくことのできるいかなる情報も公表してはならないとしている。
 報道の自由もまた、憲法が保障する重要な権利である。しかし、事件の原因や背景の分析こそが社会的に意味のあることなのであって、実名を公表したり顔写真を掲載したりすることは、社会の正当な関心に応える方法ではない。週刊ポストは実名報道に踏み切った理由につき「現在のAは33歳。少年法によって守られる必要性があった18年前とは違う。彼の氏名を含めたあらゆる言動は公衆の正当な関心の対象であり、現在進行形の事件の論評材料となる。」としているが、少年法の明文規定を無視し、実名報道により少年に対する社会的制裁を加える点において、報道の自由を逸脱した行為であることに何ら変わりはない。
 当会は、これまでも、少年の実名及び写真を掲載した週刊誌の報道に対し、これに抗議する会長声明を公表してきた。それにもかかわらず、同種の報道が繰り返されていることは極めて遺憾であり、厳重に抗議する。当会は、各報道機関が、その社会的影響力や責任を十分に自覚し、少年法を尊重して適切な報道を行うよう、重ねて強く要望する。

少年の実名報道についての会長声明(PDF)

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