組織的犯罪処罰法改正案の成立に関する会長声明

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更新日:2017年06月16日

2017年(平成29年)6月16日
第二東京弁護士会 会長 伊東 卓
17(声)第4号

 いわゆる共謀罪(「テロ等準備罪」)を創設する組織犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)が参議院法務委員会における採決を省略し、「中間報告」という極めて異例な手続により、参議院本会議で採決が行われ、その結果、同法案は賛成多数により成立した。
 本法案は、過去これまで3度国会に上程されて廃案になった「共謀罪法案」と基本的に同趣旨であり、犯罪遂行の合意(共謀又は計画)そのものを処罰し、犯罪の未遂、予備行為以前の段階の合意の成立だけで犯罪の成立を認めるものである。わが国の刑罰法令は、人権保障の観点から、法益侵害に向けられた具体的危険性がある行為を処罰することを原則としてきたが、本法案は、その根幹を変容させるものである。また、具体的に処罰の対象とされる「準備行為」の内容が不明確で、刑罰法令に求められる「禁止行為の明確性」にも反しており、重大な人権侵害をもたらす危険性がある。このため、当会は、本法案に対して反対してきた。
 衆議院・参議院の審議を通じて、本法案の立法目的や内容について多くの疑問が指摘されたにもかかわらず、政府は、十分に説明しておらず、かつ、国連特別報告者が懸念を表明するという経緯もありながら、参議院法務委員会での審議・採決を省略して、あえて異例の手続によって本会議で採決したものであり、極めて遺憾である。
 当会は、重大な人権侵害をもたらす危険があるにも拘わらず、十分な審議が尽くされないまま、本法案をあえて異例の手続によって採決し成立させた事態に対し、強く抗議するとともに、本法律の運用によって市民による意見表明が萎縮することのないよう、今後厳しく注視していく所存である。

組織的犯罪処罰法改正案の成立に関する会長声明(PDF)

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