死刑執行に抗議する会長声明

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更新日:2017年12月19日

2017年(平成29年)12月19日

第二東京弁護士会 会長 伊東 卓

17(声)第8号

 本日、東京拘置所において2名に対し死刑が執行された。第2次安倍内閣以降、死刑が執行されたのは、12回目で、合わせて21名になる。

 今回執行された者は2名とも、現在弁護人がついて再審請求中であり、またそのうち1名は、犯行時19歳の少年であった。
再審請求中の死刑執行の問題もさることながら、成育環境の影響が非常に強い少年の犯罪について、少年にすべての責任を負わせ死刑にすることは、
刑事司法の在り方として公正ではなく、今回の執行は甚だ遺憾である。

 言うまでもなく、犯罪により奪われた命は二度と戻ってこない。このような犯罪は決して許されるものではなく、犯罪により身内の方を亡くされた遺族の方が厳罰を望むことは、
ごく自然な心情である。また犯罪被害者・遺族のための施策は未だ十分ではなく、これらの方々が必要な支援を途切れることなく受けることができるように支援することは、
弁護士会を含む社会全体の責務である。

 他方、生まれながらの犯罪者はおらず、多くは、家庭、経済、教育、地域等における様々な環境や差別が一因となって犯罪に至っている。
刑罰制度は、犯罪への応報にとどまらず、社会復帰の達成に資するものでなければならず、このような考え方は、再犯の防止に役立ち、社会全体の安全に資するものである。

 刑事司法制度では、誤判・えん罪の可能性を否定することはできず、誤って死刑を執行した場合、取り返しがつかない。
また、国際社会においては死刑廃止に向かう潮流が主流であり、死刑制度を残し、現実的に死刑を執行している国は、世界の中では少数に留まっている。
このような情勢において、我々の社会も、犯罪被害者・遺族に対する十分な支援を行うとともに、死刑制度を含む刑罰制度全体を見直す必要がある。

 当弁護士会は、これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、
日本弁護士連合会の第59回人権擁護大会における「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」に則り、2020年までの死刑制度の廃止を求めるものである。

死刑執行に抗議する会長声明(PDF)

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