少年の実名・顔写真報道を受けての会長声明

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更新日:2018年04月27日

2018年(平成30年)4月27日
第二東京弁護士会 会長 笠井 直人
18(声)第1号

 滋賀県彦根市において本年4月11日に起きた警察官の射殺事件(以下「本事件」という。)について、一部の週刊誌が、今般、被疑者である少年の実名及び顔写真を掲載した。
 しかし、このような報道は、少年時の犯行について、氏名、年齢、職業、容ぼう等によりその者が当該事件の本人と推知することができるような 記事又は写真の掲載を禁止した少年法61条に違反するものである。
 少年事件の背景には、家庭、地域、学校等における様々な要因が存在するものであり、少年個人への非難のみに比重を置くのではなく、 少年の可塑性と成長発達の可能性を重視すべきである。このような見地から、少年法61条は、少年の更生・社会復帰を阻害する実名報道、写真掲載を、事件の軽重、 裁判終了の前後、少年が20歳に達したか否かを問わずに禁止し、少年及びその家族の名誉・プライバシーを保護することにより、少年の立ち直り、更生、再犯の防止を図ろうとしている。
 また、国際的に見ても、子どもの権利条約40条2項は、刑罰法規を犯したとされる子どもに対する手続のすべての段階における子どものプライバシーの尊重を保障している。 少年司法運営に関する国連最低基準規則(いわゆる北京ルールズ)8条も、少年のプライバシーの権利は、あらゆる段階で尊重されなければならず、 原則として少年の特定に結びつきうるいかなる情報も公表してはならないとしている。
 本事件については、当初、事件直後に被疑者が拳銃を携えて逃走しているという緊迫した状況下において、一部報道機関が実名及び顔写真を報道した事実もあるが、 少なくとも少年の逮捕後には、実名及び顔写真を公にする必要性は喪失していた。
 一部の週刊誌は、犯罪の重大性に鑑みれば実名を世に伝える意義は大いにあるなどとして少年の実名及び顔写真を掲載しているが、このような週刊誌の報道姿勢は、 結局のところ、センセーショナルな報道をすることにより、自ら率先して個々人の私的好奇心をかき立て、かき立てられた個々人の私的好奇心を満たすことを正当化し、 少年の更生保護を犠牲にして企業利益を追求するものと言わざるを得ず、容認できない。
 当会は、これまでも、少年の実名及び写真を掲載した報道に対し、これに抗議する会長声明を公表した。それにもかかわらず、同種の報道が繰り返されていることは遺憾であり、 重ねて抗議するものである。
 当会は、各報道機関が、その社会的影響力や責任を十分に自覚し、少年法を尊重して適切な報道を行うことを要望する。

少年の実名・顔写真報道を受けての会長声明

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