民法の成年年齢引下げに関する会長声明

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更新日:2018年07月09日

2018年(平成30年)7月9日
第二東京弁護士会会長 笠井 直人
18(声)第7号

 本年6月13日、国会において、「民法の一部を改正する法律」(以下「本法律」という。)が成立し、2022年4月1日より民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることとなった。
 当会は、2015年10月28日付けで「民法の成年年齢引下げと消費者被害に関する会長声明」を発出し、引下げの是非については国民的な熟議を経ることを求めてきたものであるが、今般の法改正はそのような経過を経たものとはいえず、極めて拙速なものと評価せざるを得ない。
 本法律の立法事実としては、成年年齢の引下げによって、若年者の社会参加の時期を早め、社会の様々な分野において積極的な役割を果たしてもらうことが、少子高齢化の急速に進む我が国の社会に大きな活力をもたらすという点があげられているが、成年年齢引下げによって上記のような結果が得られることについては何ら実証されておらず、およそ説得的とは言い難い。さらに、内閣府の世論調査の結果を見ても、国民の多くが成年年齢の引下げを望んでいないことが明らかであり、国民の生活に深く関与する重大問題であるにもかかわらず、国民の了解事項となっているとは到底言い難い。
 他方、成年年齢の引下げによって、18歳・19歳の若年者が未成年者取消権(民法5条2項)を喪失することによる消費者被害拡大、親権の対象から外れることによる自立困難な若年者の困窮の増大、同一学年に成年と未成年が混在することによる高校教育での生徒指導の困難化、養育費支払終期の繰上げの可能性など、多くの弊害が生じることが指摘されている。特に強く懸念されている消費者被害拡大のおそれについては、今国会で消費者契約法が改正されたが、適用範囲が限定されており、成年年齢引下げに伴う施策としては全く不十分である。そのため、本法案の附帯決議(本年6月12日参議院法務委員会)においては、格別な配慮を求める事項が10項目にものぼっており、残された課題の多さを物語っている。
 以上のような次第であるから、当会は、国に対し、本法律の成立が拙速であることについてあらためて遺憾の意を表明するとともに、上記附帯決議において掲げられた措置を施行日までに確実に実現し、成年年齢引下げ及びその影響などについて国民の理解を求めることを要望するものである。

民法の成年年齢引下げに関する会長声明(PDF)

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