特定複合観光施設区域整備法案(いわゆるカジノ解禁実施法案)成立に関する会長声明

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更新日:2018年07月25日

2018年(平成30年)7月25日
第二東京弁護士会会長 笠井 直人
18(声)第9号

 本年7月20日、特定複合観光施設区域整備法案(いわゆる「カジノ解禁実施法案」)が成立した。
 当会はこれまで、2015年8月19日及び2016年12月6日に、同法案の廃案を求める会長声明を発してきた。
 すなわち、我が国の刑法は、賭博が射幸心をあおり、勤労意欲を失わせるなどの見地から、賭博行為を犯罪とし(刑法185条、186条)、いわゆる公営ギャンブルについて、例外的に特別法で違法性を阻却する際には、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体への公的監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止等を考慮要素として、慎重な検討が行われてきた。
 しかし、本法案で認められるカジノの事業者は、カジノ行為粗利益について3割の納付金の支払を義務付けられるとはいえ、その余の収益の使途は制限されない。また顧客は、24時間営業のギャンブル施設において、最大3日、72時間も居続けることができる。一定の金額を預け入れた顧客に対しては、カジノ事業者から資金の貸付けを行うことも認められ、この貸付には年収の3分の1を超える貸付を禁止する貸金業法の総量規制が適用されることもない。このような仕組みの下では、顧客をギャンブル依存症に陥らせるなどの弊害は大きい。
 また本法案によれば、カジノ事業者は、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者をカジノ施設に入場させてはならないとされているが、暴力団員の潜在化が進む中、入場者の全てについて、これらに該当するかどうかを確認することは困難である。
 このようなカジノを解禁することは、刑法が賭博を犯罪とし、刑罰をもって禁止している趣旨を没却しかねず、法秩序全体の整合性を著しく損なうものである。
 また昨年8月に実施された意見募集(パブリックコメント)においても、回答者の67.1%が、本年3月の世論調査でも65.1%がカジノ解禁に反対していた。このような状況のもとで本法案が成立したことに対し、当会としては強い遺憾の意を表すると共に、国に対し、今後、上記で指摘されている弊害を防止するための万全の措置を講じるよう、引き続き求めるものである。

特定複合観光施設区域整備法案(いわゆるカジノ解禁実施法案)成立に関する会長声明(PDF)

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