クレジット過剰与信規制の緩和に反対する会長声明

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更新日:2019年05月17日

2019年(令和元年)5月17日
第二東京弁護士会 会長 関谷 文隆
19(声)第2号

 経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会は、クレジットカード等の交付・付与時の過剰与信規制について、①利用限度額10万円以下のクレジットカード等の交付・付与時には、指定信用情報機関への信用情報の照会義務(割賦販売法第30条の2第3項)及び基礎特定信用情報の登録義務(同法第35条の3の56第2項及び第3項)を免除すること、②クレジットカード会社独自の「技術やデータを活用した与信審査方法」を使用する場合には、支払可能見込額調査義務(同法30条の2第1項)を免除すること、③クレジットカード会社独自の「技術やデータを活用した与信審査方法」を使用する場合は、指定信用情報機関への信用情報の照会義務及び基礎特定信用情報の登録義務も免除すること等の規制緩和策を提案し、検討している。
 近年、インターネット取引や店頭取引において、多種多様なキャッシュレス決済手段が登場しており、手数料負担の軽減や決済手段の選択肢の多様化そのものは、消費者にとっても利便性が高まる側面があることは確かである。
 しかし、インターネット取引やスマートフォンの急速な普及により、若年者がキャッシュレス決済を利用して商品やサービスを購入する機会が格段に増えていることに伴い、各種決済からクレジット決済へと抵抗感なく移行するなどした結果、思わぬ債務を負担する等のリスクが高まっている。 特に、2022年4月施行の民法改正により成年年齢が18歳に引下げられることから、若年者の多重債務や消費者被害の増加が懸念されており、 少額サービスであったとしても、複数サービスの利用が重複し得ること等からすると、安易なクレジット過剰与信規制の緩和は危険である。
 指定信用情報機関への信用情報の照会義務及び与信情報の登録義務は、多重債務防止のためのクレジット過剰与信規制の実効性を確保するために導入されたものであり、 キャッシュレス決済の進展に向けた技術やデータの利用を図る施策を行う際も、堅持すべきである。
 また、仮にクレジットカード会社独自の「技術やデータを活用した与信審査方法」の選択肢を認めるとしても、支払可能見込額調査義務の代替手段としての客観的合理性を確保できる措置を講じなければ、過剰与信規制の実効性を確保することができず、 多重債務問題を防止することが困難となる。
 よって、クレジット過剰与信規制の緩和に反対する。

クレジット過剰与信規制の緩和に反対する会長声明(PDF)

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