ジュニアロースクール・イベントレポート(2016)

更新日:2016年10月04日

 平成28年8月5日、委員会発足以来毎年恒例となっている夏季ジュニアロースクールが開催されました。
 二弁のジュニアロースクールでは、毎年、都内23区の全中学校と、各区の中央図書館とにチラシを配布し、中学生の参加を呼びかけ、毎年異なるテーマのもと、弁護士と共に法的なものの考え方などを学ぶ機会を提供しています。

 今年度は、「あなたならどう書く? 中学生新聞記者募集!」と銘打ち、生徒会長選候補に名乗りを上げた「光源氏君」が生徒会長としてふさわしいかについて、部活動の顧問の先生、友人、"今カノ"、"元カノ"や用務員役の弁護士から、生徒自ら事情を聴き取り、「光源氏君」賛成派と反対派という各班の設定に沿って、それぞれ新聞を作ってもらうという課題を午後に用意しました。
 同じ事情を聴き取った人でも、その人の立場や思惑によって、全く異なる情報発信につながることを、中学生新聞記者というロールプレイを通じて身をもって学んでもらうことが今年度の二弁ジュニアロースクールのメインテーマでした。

 午前は、そのテーマを下支えする知識や考え方を、パワーポイント資料と簡単な刑事事実認定の課題とを通じて、生徒たちに分かりやすく説明しました。
 パワーポイント資料では、実際にインターネットに投稿されて物議をかもした「濡れた猫」の画像を紹介し、「画像と共に投稿されたコメントからすると虐待された猫のように見えるけれど、実際にはそうではないらしい。」という後日談を含めた解説をするなどし、「事実」とは何か、「評価」とは何か、そして、「事実」と「評価」を分けることの大切さを学びました。最後には、「松本サリン事件」にも言及し、事実に基づかない憶測記事によって、1人の人生が大きく狂わされた事件を紹介し、情報の危険性について理解を深めました。

 また、刑事事実認定の事例問題では、架空の窃盗事件を設定し、そこから犯人性を検討してもらいました。
 「事実」と「評価」が織り交ざった断片的な情報から、本当にその人が犯人と言えるのかを生徒たちに考えてもらい、「評価」を除外して「事実」のみから判断する練習をしました。

 その後、生徒たちと弁護士たちが入り混じっての昼食時間を設けました。
 昼食時間では、授業とは関係のない弁護士の日常や、生徒が最近個人的に興味を持った事件について弁護士に解説を求めるなど、弁護士の仕事に理解を深めると共に、弁護士の視点を通じた世の中の見方に触れ、時間いっぱいまで各所で談笑に花が咲いていました。

 午後は、前述のとおり、生徒会長候補の「光源氏君」について、部活の顧問の先生や友人ら役の弁護士から生徒たちが自ら聴き取りをし、新聞を書くというワークに取り組みました。
 昼食後という眠気に襲われやすい時間帯ながら、半年以上をかけて作り上げてきた登場人物を演じる弁護士たちの熱気も手伝い、誰一人として集中を切らすことなくワークへの取り組みを進めていました。
 生徒たちは皆、登場人物たちの語る「光源氏君」にまつわる話が、「事実」なのか「評価」なのかを見極めた上で、さらに、自分たちに不利な事情も必ず使いながら新聞を書くという難題に、真剣に頭を悩ませ、議論をしつつ、他方で、今まで直面したことのない課題も楽しみを覚えながら新聞づくりに取り組みました。
 結果、生徒たちが完成させた新聞は、私たち弁護士が思いもよらない創意工夫に満ち、それだけで一見の価値がある素晴らしい作品へと昇華されていました。

 その後、生徒たちは、自分たちの新聞のこだわりや要点を簡潔に、しかし誇らしげに発表してくれました。
 限られた時間ながら、みんなそれぞれ満足のいく作品に仕上がり、その言葉や眼差しからは達成感が感じられました。
 そして、その後の公表や閉会のあいさつを通じ、改めて、弁護士から、同じ事実から両極端な記事ができてしまう怖さを伝え、今年度の二弁夏季ジュニアロースクールのメインテーマを再確認して閉会となりました。

 なお、参加者には、二弁夏季ジュニアロースクールの修了証と記念品として日弁連のクリアファイルが授与されました。
 午前10時30分から午後4時30分まで約6時間に及ぶイベントを終えて帰っていく生徒たちは皆、どこか誇らしげで、朝会場に来たときよりも、少しばかり成長したように見えました。

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