「第7回 がんばろう熊本!復興応援ツアー」レポート

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更新日:2019年01月15日

互助会運営委員会 副委員長 栗林 武史

平成30年10月20日から21日までの間、第二東京弁護士会が主催する復興応援ツアーに参加してきました。過去6回は、東日本大震災による被災状況・復興状況を視察しましたが、7回目の今年は、熊本県大地震の被災・復興状況を視察しました。
ご存知のとおり、熊本地震は、平成28年4月14日21時26分に発生し、震度6弱以上を観測する地震が7回、うち2回は震度7を計測したほどの大地震です。この地震により、電気、ガス、水道等のライフラインへの被害のほか、空港、道路、鉄道等の交通インフラにも甚大な被害が生じ、住民生活や中小企業、農林漁業や観光業等の経済活動にも大きな支障を来し、家屋の倒壊や土砂災害等により多数の死傷者が出ました。
今回は、熊本城と阿蘇大橋を中心に視察しましたが、地震発生から2年半が経過した現在でも、大地震の爪痕をはっきりと確認することができました。
最初に熊本城を視察しました。地震により石垣が広範囲にわたり崩落したため(石垣全体の約3割に復旧が必要な箇所があるそうです)、二の丸御門跡については立ち入りが規制されており、天守閣も、遠目でしか確認することはできませんでした。それでも、大型クレーン等の重機が城を囲うように復旧作業をしているのを見て、全面復旧には、まだまだ時間がかかるということが容易に分かりました。崩落した石垣については、「石一つ一つに番号をつけて、元の場所に設置する」という途方もない復旧作業が予定されているとのことで、数十年単位での作業になるとのことでした(なお、天守閣は2019年までに復旧し、20年後には城全体を地震発生前の状態に戻すことを計画しているとのことでした)。
次の視察場所である阿蘇大橋に近づくにつれて、バスの車窓から、自然の力によって削り取られた山肌を確認することができました。そして、崩落した阿蘇大橋を目にしたとき、圧倒的に破壊された景色に鳥肌が立ったことを覚えています。少しオーバーかも知れませんが、生き物としての根源的な恐怖感というか、絶望感を感じたとしか表現しようがありません(参加された他の先生方も同じ印象をお持ちなったと思います)。阿蘇大橋の視察からは、現地のガイドさんが加わってくださり、崩落した山の斜面で作業を続ける重機を示しながら、熊本地震発生のメカニズムや、地震発生当時の状況、今後の復旧作業等について、詳しく説明してくださりました。特に印象的だったのは、当時の避難状況に関するお話でした。阿蘇大橋のすぐ近くに東海大学の校舎があり、学生や職員も甚大な被害を被ったそうです。ガイドさんから、地震発生直後、東海大学の学生が、地域住民の避難を手助けし、勇気付けていたというお話がありました。想像を絶する恐怖の中で、若い学生さんたちが、必死になって、お年寄りの避難を助けている姿を想像したとき、地震の犠牲になってしまった学生がおられるという事実は余りにも重たいもので、本当に胸が詰まる思いでした。
その後、ホテルに移動し、熊本地震発生当時、熊本県弁護士会会長であられた吉田賢一先生に、ご講演いただきました(当会の「復興応援ツアー」では、毎年、被災地で積極的な活動をしておられる先生方から、現場に密着した貴重なお話をうかがっております)。吉田先生からは、無料法律相談を広域で実施するために、マイクロバスを改造し、バスの中で法律相談を受けることができる設備を整えるなど、様々な取り組みをされてこられたことについて、実体験に基づく貴重なお話をうかがいました。特に、緊急時における所属弁護士の安否確認の問題や、組織的・統一的な方針の下に、弁護士間の連携・協力を図ることの難しさ、弁護士会の取り組みを告知することの難しさ等に関するお話は、被災時に会長を経験された先生からしかうかがうことができないお話であり、弁護士会として、あるいは一人の弁護士として、「どのような形で法的サービスを提供することが望まれ、また、効率的かつ効果的な法的サービスを提供するためには、どのような体制を整え、これをどのように告知していくべきか」に関して、極めて重要な示唆を含むものだったと思います(出席された先生方からは、例年にも増して、色々な質問がなされていました)。吉田先生には、改めまして、心より御礼申し上げます。
翌日は、観光組とゴルフ組に分かれて、旅を満喫しました。私は、観光組でしたので、観光の様子を少しだけ報告させていただきます。メインは、高千穂観光で、天岩戸神社、天安河原、高千穂神社、高千穂峡を観光しました。ご承知の方も多いと思いますが、宮崎県高千穂町は、日本神話(日向神話)に縁がある場所で、「スサノオノミコト」、「アマテラスオオミカミ」といった神々がたくさん登場します。ガイドさんが、逐一、丁寧に神話の解説をしてくださるのですが、恥ずかしながら、「親戚がたくさんいるのね」程度の理解しかできない始末。気を取り直して、パワースポットとしても有名な天安河原(あまのやすかわら)を見学しました。自然が織りなす神秘的な美を堪能しつつ、マイナスイオンをたっぷり吸い込んで高千穂神社へ。ここでは、鎮石(しずめいし。触りながら祈ると願いが叶うといわれている)を両手でしっかりグリップしながら、「商売繁盛!商売繁盛!」と祈った後、慌てて「家内安全」を付け加え、祈り直しました。最後は、高千穂峡を見学。「どこかで見たことあるな」と、モヤモヤした感覚を覚えながらも、荘厳な景色を楽しみました(因みに、私の法律事務所の会議室には、高千穂峡の「絵」が飾ってあり、私は、日々、これを見て打ち合わせをしていたことから、高千穂峡に見覚えがあったのでした)。空港に向かう途中で、山村酒造(創業は、なんと宝暦12年(1762年))に立ち寄り、代名詞である日本酒「霊山」(商標登録は明治41年)の製造過程の見学や試飲を楽しみました。温暖なはずの地域で、これほどまでに美味しい日本酒を作ることができるのかと、感動しました。
今回は、初めて飛行機での移動でしたが、大きな問題もなく、無事に視察旅行を終えることができました。視察全体を通じて、改めて、地震の恐ろしさや被害の甚大さを知ることができたと思います。首都圏においても、大規模地震が発生する可能性があると伝えられているところですので、今回の視察で経験したことを、避難計画や復興計画の策定・実施に少しでも役立てることができたらと思っています。

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