会長挨拶(2017年8月)

第二東京弁護士会会長 伊東 卓
2017年(平成29年)8月

8月となり暑い夏を迎えております。本年度当会理事者は就任から4カ月を経過して会務にも慣れ、元気にそれぞれの業務をこなしております。本年度内に解決すべき課題も明確となり、その処理に今後全力を尽くしたいと考えております。
さて、本年度当会理事者が抱える課題の他に、弁護士会あるいは法曹界の抱える課題というものも存在しています。これらの課題については主に日弁連がその対策を講じていますが、中には長年にわたって課題とされながら、実現に至っていないものもあります。その一つに「民事司法改革」があります。
質・量ともに豊かな司法を創ることを目指して司法改革は行われました。確かに、弁護士人口が増加し、法テラスやひまわり事務所が開設されて、司法過疎地域がほぼなくなりました。裁判員裁判によって市民の視線を受け入れることで刑事裁判も変わりました。しかし、民事訴訟の分野では豊かな司法は実現されたといえるでしょうか。
民事司法は、市民生活や経済活動に密接に関わる様々な法的問題を、司法手続によって解決する制度です。正義が実現される社会とするためには、民事司法の機能の充実が強く求められます。
そして、民事司法の機能の充実のためには、公正公平で利用しやすい訴訟制度が必要です。しかしながら、現在の民事訴訟は決して利用しやすい制度とはいえません。わが国の提訴手数料は高額です。実効性のある証拠収集制度も不足しています。損害賠償制度もより高額な賠償が認められるべきです。せっかく苦労して手に入れた勝訴判決を実現するための財産開示制度も改善が必要です。しかし、これらの課題は長年解決していないのです。このような状況のために、高い手数料を払って提訴しても、証拠が足りずに敗訴したり、満足できる損害賠償額が得られなかったり、勝訴判決を得てもただの紙切れに終わってしまうといった事態が実際に起きているのです。
これでは豊かな司法が実現されたとは到底言えないでしょう。私たちは民事司法改革の実現を今後も粘り強く求めていきます。市民の皆様には、どうかご理解ご支援を賜りたくよろしくお願いいたします。