会長挨拶(2018年1月)

第二東京弁護士会会長 伊東 卓
2018年(平成29年)1月

 あけましておめでとうございます。今年一年が皆様にとって良い年でありますように祈念いたします。
 昨年一年を振り返ってみますと、まず、裁判所法の一部が改正され、司法修習生に対する新たな給付金制度が制定されることとなりました。 司法修習生への経済的支援が実現することにより、今後、法曹志願者の減少に歯止めがかかることが期待されます。 他方で、65期以降については、今年から貸与金の返済が始まることとなっていますが、給費を受けられなかったいわゆる「谷間世代」の不公平の解消については、 残念ながら議論が容易には進んでいない現実があります。今後、会員の総意を集めて、対策をまとめていく必要があると考えています。
 また、長きにわたって審議されてきた民法の債権法改正がようやく成立しました。この度の債権法改正は、国民生活への影響が大きい内容を含んでいます。 われわれ法律実務家としては、その円滑な施行のために着実に準備を進めなければなりません。
 さらに、昨年の総選挙の結果、憲法改正に向けての議論がいよいよ本格的に進む見通しが強くなっています。 この議論には政治性の強い内容が含まれますが、弁護士会において憲法改正をめぐる議論をどう進めるのか、会員各位の意見を踏まえつつ検討を進めていく必要があります。
 また、12月の日弁連臨時総会では、FATF第4次対日相互審査に対応するため、会員に年次報告書の提出を義務付ける会規改正が承認されました。 今年6月には、早くも年次報告書の提出が始まりますので、会員への周知広報とともに、当会における報告書の集約体制の整備など、準備を怠りなく進める必要があります。
 そして、政府では、現在、裁判のIT化の議論が急ピッチで進められています。お隣の韓国では既に裁判のIT化が相当程度進められていますが、 これに対して、日本での取組みの遅れが非常に目立つ状況にありました。この状況がついに改められ、今後、加速度的に取組みが進む可能性があります。 書面の提出・記録の保管のほかに、期日の出廷までIT化されるとしたら、弁護士の業務の進め方に大きな影響を及ぼすことになります。 今後の議論の進展を十分注視することが必要です。
 そして、少し先のことも考えますと、宇宙開発をめぐる法律問題の検討や、AI社会の本格的な到来も見据えなければならないでしょう。 若い会員が積極的に議論して、これらの新しい問題の解決にかかわってくださることを期待します。
 年が改まるのを機に、足元の問題に改めて思いを致すのは当然のこととして、近い将来、遠い将来のことも視野に入れて、 弁護士、弁護士会のあり方を考えていくことも重要なことです。私ども理事者の任期も残すところ3か月となりましたが、年頭にあたり、改めて肝に銘じたいと思います。