第二東京弁護士会の組織

弁護士会について

弁護士会について

そもそも、弁護士会とは?

「弁護士会」は、弁護士及び弁護士法人を会員として構成される団体で、弁護士法によって定められた法人です。

弁護士会は、原則として地方裁判所の管轄区域ごとに設立されています。全国の都道府県のうち東京都と北海道を除く45の府県にはそれぞれ1つずつ弁護士会があり、北海道では地方裁判所の管轄が4つに分かれている関係で弁護士会も4つあります(札幌、函館、釧路、旭川)。

東京には地方裁判所の本庁は1つしかありませんが、歴史的な経緯から、弁護士法の例外として3つの弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)が設立されています。
これらの合計で、日本には全部で52の弁護士会があります。

日本弁護士連合会、弁護士会、弁護士の関係

全国に52ある弁護士会とは別に、日本国内のすべての弁護士・弁護士法人と弁護士会を束ねる組織として、「日本弁護士連合会」(日弁連)があります。この日弁連や各地方のブロック弁護士会連合会(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の8ブロック)と区別するため、全国52の弁護士会のことを「単位会」と呼ぶことがあります。

日弁連も弁護士法で定められた法人で、日弁連の会員は、全国の弁護士・弁護士法人と、全国52の単位会です(各単位会そのものも一人の会員として扱われています)。

日本で弁護士業務を行おうとする場合は、必ず、日本弁護士連合会に登録すると同時に、全国52の単位会のいずれかに所属しなければなりません(これを「強制加入団体」といいます)。つまり、日本で弁護士を名乗っている人は、必ず「日弁連」と「全国52のうちいずれか一つの単位会」の2つの会員名簿に登録されています。

弁護士会は何をする団体なの?

各弁護士会はそれぞれ「弁護士会館」を構えていますが、会員の弁護士がそこで訴訟業務や顧問先の相談業務などの日常業務をしているわけではありません。弁護士の仕事場は各自の法律事務所です。

では、弁護士会は何をしている団体なのでしょうか。

弁護士法31条1項は、「弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。」と定めています。

この弁護士法31条の内容を整理すると、弁護士会は

1 弁護士の「品位を保持」するための「指導」「監督」
→ 綱紀・懲戒、紛議調停など
2 弁護士の「事務の改善進歩を図る」ための「指導」「連絡」
→ 弁護士向けの研修など

を行う団体だということになります。

他にも弁護士会は、市民向けの法律相談窓口を運営したり、在野の法律家団体として法案の制定や社会的事件について意見を表明したりするなど、幅広い活動を行っています。単位会によっては、裁判によらずに紛争解決をお手伝いする「仲裁センター」の運営や、学校に弁護士を派遣して授業のお手伝いをする法教育など、それぞれの単位会が独自性を発揮しながらさまざまな市民サービスを行っています。
第二東京弁護士会の活動については、詳しくは「6つの事業」をご覧ください。

弁護士自治とは?

日弁連と弁護士会には「弁護士自治」が認められています。

弁護士自治の内容についてはいろいろな説がありますが、核となるのは、1.弁護士資格の付与と登録を弁護士会が行うこと、2.弁護士に対する監督と懲戒を弁護士会が行うこと、3.弁護士会が強制加入団体であること(弁護士会に登録しない弁護士の存在を認めないこと)に要約することができます。

弁護士自治とは、端的に言うと弁護士には監督官庁がないということです。日本には、公認会計士・弁理士・司法書士・税理士など、弁護士の他にもさまざまな国家資格がありますが、それぞれに監督官庁が存在します。しかし、弁護士には監督官庁がありません。弁護士に対する監督は、弁護士会が行います。

日本の弁護士も、戦前は司法大臣の監督に服していました(もっと前は検事正の監督下にありました)。しかし、戦後日本国憲法が制定され、その理念に沿って新たな弁護士法ができ、弁護士自治が定められました。

弁護士は、依頼者の権利を守るために活動します。時には、争う相手が国であったり役所であったりすることもあります。例えば、刑事事件では争う相手は常に警察や検察という国家機関です。このような事件では、弁護士は国や役所と厳しい対立関係に立つことがあります。そのとき、国が監督権を理由にその弁護士を指導できることになっていたらどうなるでしょうか。弁護士の活動が弱められてしまったら、国民の権利は十分に守られません。つまり、弁護士自治は、弁護士に十分な活動を保障するために認められた、国民の権利を守る上でとても大切な制度です。

国際的には弁護士は裁判所の監督に服するという制度が多いので、油断をすると日本の弁護士自治も奪われてしまう可能性があります。そのため、弁護士自身が襟を正してしっかりと自治を守らないといけません。

なぜ東京には、3つの弁護士会があるのか?

東京に3つの弁護士会があるのは、歴史的な経緯によるものです。1893年、近代的な弁護士法の制定に伴い東京弁護士会(通称「東弁」)が設立。その後、1923年に東弁が分裂し、新たに第一東京弁護士会(通称「一弁」)が設立されました。この分裂状態を憂慮した東弁及び一弁の会員の中から有志が集まり、1926年に「第二東京弁護士会」が設立されました。こうして東京には3つの弁護士会が存在することになりました。

東京で弁護士となるためには、この3つの弁護士会のどこか1つに所属しなければなりませんが、その選択は全く自由です。3つの会には気風の違いはあるかもしれませんが、上下関係があるとか、地域割りがあるというようなことは全くありません。

東京に3つの弁護士会があることによって、利用者の方々に不便を及ぼすことのないように、三弁護士会は協力して活動しています。例えば、弁護士会が行う法律相談や当番弁護士の派遣などは受付を1つにして共同で行っており、このような分野は今後も増えていくと思われます。