会長声明

2003/03/19

イラクへの武力行使を支持する日本政府の表明に反対する会長声明

2003年(平成15年)3月19日
第二東京弁護士会 会長 井元 義久

 ブッシュ・アメリカ合衆国大統領は、2003年3月17日午後8時(日本時間18日午前10時)、イラクのフセイン大統領が政権にある限り武装解除はできないとして、フセイン大統領と2人の息子に対して48時間以内に国外退去するよう要求し、拒否すれば軍事行動に踏み切ると通告した。
 これを受けて、小泉内閣総理大臣は、3月18日午後、アメリカの武力行使を支持する旨表明した。
 この間、アメリカ、イギリスは、国連安全保障理事会における新たな決議の採択に向けて安全保障理事国の賛同を求めてきたにもかかわらず、多数の賛成を得ることができない事態に陥ったために、国連安全保障理事会を無視し、その承認を得ることなく、アメリカの一方的な判断で武力行使を行うことを世界に表明し、日本政府はこれに同調したものである。
 国連憲章42条は、安全保障理事会は、非軍事的措置では不十分な場合に限り「平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる」と規定しており、同憲章51条では、その例外として、国連加盟国に対する武力攻撃が発生した場合に、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、自衛権を行使することができるとされているにすぎない。
 したがって、イラク問題の平和的解決の余地が残されており、かつイラクによる国連加盟国に対する武力攻撃が発生していない現状においては、アメリカが行おうとしている武力行使は国連憲章に違反するものである。
 わが国が、かかるアメリカの違法な武力行使を支持することは、日本国憲法の平和主義、国際協調主義に反することも明らかである。
 よって、当会は、日本政府に対して、アメリカの武力攻撃への支持を撤回するよう求める。

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