会長声明

2003/10/23

債務整理事案に関し、弁護士でない者が弁護士を装って(にせ弁護士)債務弁済を求める事案に関する会長声明

2003年(平成15年)10月23日
第二東京弁護士会  会 長 尾 崎 純 理 

 最近、消費者金融やいわゆるヤミ金融業者の債務整理事案に関し、債務者自身や保証人、親族等に対し、電話を掛けて、自らが弁護士であると称し、債務の支払いを求める事件が多発しています。

 例えば、平成15年10月9日ころ、東京都内居住の、消費者金融からの債務者本人の母親に対し、「東京第二弁護士会所属の弁護士であるイチムラ」なる名前を言って、何らの延滞等の事故がないにもかかわらず、保証人として70万円を明日までに支払え、支払わなければ訴訟を起こすなどと、脅して振り込み入金を迫るなどした事案が発生しました。

 次に、前同日ころ、前記イチムラなる人物から、全く別の債務者の親族に電話があり、「今日の午後12時までに80万円を振り込まないと、前科がつきますよ」という趣旨の電話を掛け、振り込み入金を迫る事案も発生しました。

 更に、平成15年10月14日ころ、山形県居住の方に対し、前記と同一人と思われる市村幸雄(イチムラユキオ)と称する者が息子の債権者から依頼された弁護士であると称し、「今日中に支払え、支払わなければ大変なことになるぞ」と、強硬に支払いを迫った事案も発生しました。

 また、同日、別の山形県居住者に対し、前同様に名乗ってから、貸金業協会から依頼を受けた。明日12時までに指定口座に127万8千円を振り込んで下さい。振り込まなければ「民事告発」する。そうなれば、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科される、と虚構の法的制裁を告げて脅し、支払いを強要する事案も発生しました。

 このような事案は、他にも多数報告されておりますが、実際には東京第二弁護士会という弁護士会は存在しませんし、市村幸雄(イチムラユキオ)なる名前の弁護士は当会に所属しておりませんから、これは最近跳梁している『おれおれ詐欺』の変形版ともいえるものであり、このような連絡を受け取った方々が、親族の苦境を救うためと誤解して、善意で支払わせることを狙った極めて悪質な詐欺事案であります。しかも弁護士会及び弁護士の信用を悪用した、決してあってはならない事案です。

 当会は、このような無法状態が横行しつつある状況を深く憂え、被害の発生及び拡大を防ぐために、ここに、このような弁護士名を騙っての債務弁済要求に応じられることのないよう市民の皆さんに注意を呼びかけ、少しでも疑問に思われたときは弁護士会に問い合わせて戴きたくお願いすると共に、同種事案の根絶のため、従前にもまして積極的な対応をして行くものであることを確認し、本声明を発する次第です。

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