会長声明

2004/02/25

自衛隊のイラク派遣に反対する会長声明

2004年(平成16年)2月25日
第二東京弁護士会  会 長 尾 崎 純 理

 去る2月9日、自衛隊のイラク派遣を国会が承認した。既に、政府は陸上自衛隊施設部隊をイラクに派遣し、さらに、後続部隊が派遣される。その数は、陸海空の3自衛隊合わせて1000名以上に上る見込みだ。
 自衛隊のイラク派遣の根拠とされるイラク特措法が国際紛争を解決するための武力行使及び他国領土における武力行使を禁じた日本国憲法に違反する恐れが極めて大きいことは日弁連も既に指摘しているところである。今回の派遣は、「非戦闘地域」に限定された自衛隊の対応措置を定めたイラク特措法の基本原則からみても許されない。
 そもそも今回の派遣は、国連のPKO活動に対する協力としてなされるものではなく、国連の要請も、派遣先であるイラクの適正な同意もない。米英によるイラク侵攻の理由とされた大量破壊兵器は依然として発見されず、米査察調査団長自身「イラクには大量破壊兵器はない」と表明するに至っている。イラク侵攻の大義名分がないことがますます明らかになり、その国連憲章違反が明白になりつつある。
 このような状況下での自衛隊イラク派遣は、国連の要請による「国際協調」ではない。自衛隊の「安全確保支援活動」が米英軍等に対する医療、輸送、補給等の支援活動であり軍事的支援にほかならず、結局イラク派遣はアメリカの占領行政に対する支援というしかない。しかも、自衛隊は事実上米軍の指揮下に入る。戦後初めて自衛隊を戦地に出動させるこの事態は、武力行使を禁止した憲法9条に違反する疑いが強いものである。
 むき出しの力による支配、暴力と憎悪の応酬、復讐の連鎖を避けなければならない。それが歴史の教訓であり、国連憲章の精神であり、日本国憲法の平和主義である。
 日本としては、国連を中心とした枠組みのもとでの非軍事的な分野でのイラク復興を支援すべきである。当会は、自衛隊のイラク派遣に強く反対し、既に派遣された自衛隊の即時撤退と今後の派遣中止を求めるものである。

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