会長声明

2004/01/05

有事法制関連7法案等の成立にあたっての会長声明

2004年(平成16年)9月14日
第二東京弁護士会 会長 山田勝利

  1.  本日、福岡拘置所において嶋崎末男死刑確定囚に対する死刑が執行され、また大阪拘置所において宅間守死刑確定囚に対し死刑が執行された。
  2.  現在、国際社会は死刑の廃止に向かう潮流のなかにある。1989年、国連総会において「死刑廃止条約」が採択され、また国連人権委員会は、1997年以降、毎年「死刑廃止に関する決議」を行い、日本政府は同決議により死刑の廃止に向けた措置をとるように勧告を受けている。
     欧州評議会もまた,2001年6月,日本とアメリカに対し,死刑執行の一時停止を行い、早急に死刑制度を廃止するように促す旨の決議を採択している。
     現実にも、死刑の廃止国・地域は111カ国・地域を数え、存置国・地域を大きく上回るに至っている。
  3.  このように、国際社会が死刑の廃止に向かう潮流のなか、我が国においても、死刑の廃止をめぐる議論が活発に行われるようになり、2002年5月には、欧州評議会議員会議法務人権委員会と「死刑廃止を推進する議員連盟」(死刑廃止議員連盟)の共催により、死刑廃止に向けた司法人権セミナーが開催されるなどしている。
     日本弁護士連合会は,1997年,死刑囚が国際人権自由権規約等に違反している状態におかれていることに鑑み,死刑廃止した場合の最高刑の在り方及び死刑執行停止法案についての検討を重ねてきた。2002年には「死刑制度問題に関する提言」を発表し、死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法の制定を提唱した。また、本年10月開催される第47回人権擁護大会で死刑問題を取り上げる予定である。
  4.  当会においても、法務大臣に対し、死刑の執行のなされる度、死刑の執行を停止するよう要望してきた。死刑をめぐる国際的情勢を正確に踏まえたうえ国民的な議論を尽くし、死刑存廃に関するコンセンサスが得られるまで、死刑の執行を停止するよう、重ねて要望するものである。

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