会長声明

2004/10/25

新司法試験合格者数に関する会長声明

2004年(平成16年)10月25日
第二東京弁護士会 会長 山田勝利

 本年10月7日の司法試験委員会において、2006年度の新旧司法試験の合格者数を各800人とする法務省素案が提示されたという。その法務省素案によれば、その後2007年度は合格者総数2000人(新1600人、旧400人)、2008年度は合格者総数2500人(新2300人、旧200人)、 2009年度は合格者総数2900人(新2800人、旧100人)、2010年度は合格者総数3000人(新2950人、旧50人)とのことである。

 言うまでもなく新司法試験は、今般の司法改革において新たな法曹養成制度の中核と位置づけられた法科大学院の修了者を対象とするものであり、これまでの司法試験という「点」のみによる選抜ではなく、法科大学院教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度の一環として構想されたものである。したがって、新司法試験は、法科大学院における教育内容を前提とし、かつ、その教育内容を十分に修得した法科大学院の修了者に新司法修習を施せば、法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、分析力、表現力等を備えているかどうかを判定することを目的としている。司法試験委員会は、まず、新司法試験の目的を確認すべきである。

 また、今般の司法改革において、法科大学院を新たな法曹養成制度の中核と位置づけた以上、新司法試験実施後においては、法科大学院修了者以外を対象とする旧司法試験は、新制度への完全な切替えに至る移行措置として、新司法試験と併行して5年間程度実施されるにすぎないものである。移行措置であることを理解していれば、法務省素案にある2006年度の新旧司法試験の合格者数を同数とするという発想自体が誤りであることは明白である。法務省素案は、法曹養成制度を「点」から「プロセス」へと転換させた趣旨を忘れたものと言わざるを得ない。

 ここに当会は、国民に期待される21世紀を担う新たな法曹を十分に確保するために、司法試験委員会が、司法制度改革審議会意見書の趣旨を十全に具体化した制度を構築するよう強く求めるものである。

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