会長声明

2007/04/24

少年法「改正」法案衆議院通過についての会長声明

2007年(平成19年)4月24日
第二東京弁護士会 会長 吉成 昌之

 衆議院は、去る4月19日、少年法「改正」法案について与党単独で採決を強行し、参議院に送付した。
 当会は、今回の「改正」法案に関して、既に2005年8月4日、政府提出法案に反対する会長声明を出して、多くの問題点を指摘した。
 今回衆議院を通過した法案において、これら多くの問題点のうち、「ぐ犯少年である疑いのある者」に対する警察の調査権限を付与する部分が削除され、また少年に対する観護措置が取り消された場合に国選付添人の選任を取り消すとされた部分も削除されたことは評価されるものの、なお、以下のような重大な問題点が残されている。
 すなわち、まず、同法案は、現行の少年院収容年齢を引き下げ、おおむね12歳以上としているが、その必要性についての検証がなされているとはいえない。むしろ、低年齢で重大事件を犯す少年ほど福祉的対応がより一層必要とされるのであって、少年院収容が少年の再非行防止につながるとは思えず、かえってその弊害だけが懸念される。
 また、同法案は、触法少年に係る事件について、警察官の強制調査権限を認めているが、触法少年に係る事件の背景には、児童虐待や家庭の機能不全といった問題が潜在していることが多いのであり、触法少年に対しては、何よりも福祉的観点から、子どもの心理やカウンセリングに通じた専門家が子どもの特性に配慮した対応を行うべきである。また少年の未熟さや被暗示性、迎合性の強さなども考えれば、警察官の強制調査にあたっては、弁護士の立会いが保障されるべきである。
 さらに、国選付添人制度については、選任対象事件の範囲を広げこそしたものの、その範囲はなお限定されており、不十分である。2005年8月4日、政府提出法案に反対する会長声明で端的に指摘したとおり、少なくとも観護措置を受けた全ての少年に対して国費による弁護士付添人を付すことができるようにすべきである。
 当会は、何よりも少年に対する福祉の人的物的環境の充実を図るべきと考えている。 
 同法案は、上記の重大な問題をなお多く抱えているのであり、当会は、参議院において、慎重かつ十分な審議による、上記問題点の解消を強く求めるものである。

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