会長声明

2007/06/11

大和都市管財国家賠償訴訟判決に関する会長声明

2007年(平成19年)6月11日
第二東京弁護士会 会長 吉成 昌之

 本年6月6日、大阪地方裁判所は大和都市管財国家賠償請求事件について国の過失を認め、原告ら被害者の被害の一部を賠償するよう命ずる判決を出しました。
 大和都市管財事件は、独立系の抵当証券会社である大和都市管財株式会社の破綻により、「第二の豊田商事事件」と称される被害者1万7000名、被害総額1100億円という大被害を出した証券詐欺被害事件です。
 今回の判決は、国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質性に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国賠法1条1項の適用上違法となるとの法律判断を示したうえ、近畿財務局長が平成9年12月21日付で大和都市管財に対する登録を更新したことは、登録更新に係る財務局長等の権限を定めた抵当証券業規制法の趣旨、目的や当該権限の性質等に照らし、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くとし、過失を認定しました。同財務局長が適切に監督権限を行使すれば、容易に更新登録拒否事由を認定できたにもかかわらず漫然と更新登録を認めたのは、その権限不行使の態様が著しく合理性を欠き、国賠法上も違法の評価を受けるべきとして、国家賠償法上の違法・過失を認めて被害救済を図るものであり、歴史的画期的判決と評価されるべきです。
 東京三弁護士会は協力して本件被害発覚直後に被害者対応を行い、被害者説明会を開催し弁護団の立ち上がりを支援しました。
 当会は、国に対し、今回の大阪地裁判決を真摯に受け止め、消費者被害の防止と被害救済に真剣に取り組むよう求めるとともに、今後も市民の求めに応え、市民1人1人の権利を守り、正義を実現する活動をしていくことを表明します。

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