会長声明

2010/03/04

全ての外国人学校を「高校無償化」制度の対象とすることを求める会長声明

2010年(平成22年)3月4日
第二東京弁護士会 会長 川崎達也
09(声)第13号

 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」案(いわゆる「高校無償化」法案)が、今国会に上程され、審議が開始された。
 高校無償化法案第2条1項は、制度の対象となる「高等学校等」に、「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める」各種学校が含まれると規定する。しかしながら、新聞報道等によれば、様々な政治的理由等により高校無償化の対象となる学校から朝鮮学校を排除すべきとの主張が表れている。
 朝鮮高級学校は、それぞれ都道府県知事から各種学校としての認可を受け、確立されたカリキュラムにより安定した教育を長年にわたって実施してきたといえる。実際に、日本全国のほぼすべての大学が、朝鮮高級学校の卒業生に対し、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」として大学受験資格を認定しているものである。また、課外活動の分野でも、今年度の全国高校ラグビー選手権大会で大阪朝鮮高級学校ラグビー部が大阪府代表として全国3位の成績を上げる等の活躍をしており、朝鮮高級学校が、日本社会から、高等学校に準ずるものとして認知され、評価されていることは明らかである。
 そうであれば、日本の私立学校や他の外国人学校と区別して、朝鮮学校のみを高校無償化制度の対象から除外することは、合理的理由のない差別であって、憲法14条の平等原則等に反するものといわざるをえない。
 なお、朝鮮民主主義人民共和国と同様国交のない台湾系の中華学校については、高校無償化制度の対象となることが想定されているのであるから、本国と国交のないことは朝鮮学校を対象外とする合理的な理由とはならない。
 当会は、内閣総理大臣及び文部科学大臣に対し、高校無償化制度について、朝鮮学校を含む全ての外国人学校を対象とする制度とするよう強く求めるものである。

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