会長声明

2012/03/29

死刑執行に関する会長声明

2012年(平成24年)3月29日
第二東京弁護士会 会長 澤井 英久
11(声)第13号

 本日、東京、広島、福岡の拘置所において、3名に対する死刑の執行が行われた。誠に遺憾と言わざるを得ず、強く抗議するものである。
 わが国では、刑罰制度として死刑制度を存置しているが、死刑はかけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であることに加え、罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき、その可能性を完全に奪うという問題点を内包している。また裁判は常に誤判の危険を孕んでおり、死刑判決が誤判であった場合にこれが執行されてしまうと取り返しがつかないという根本的な問題もある。
 国際的にみた場合、2012年(平成24年)現在の死刑廃止国(10年以上死刑を執行していない事実上の廃止国を含む。)は141か国、死刑存置国は58か国であって、世界の3分の2が死刑を廃止ないしは停止している。死刑廃止が国際的にも大きな潮流であることは明らかである。
 このようななか、日本弁護士連合会は、死刑のない社会が望ましいことを見据えて、昨年10月7日、第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択した。当会もこれまで死刑の執行に際し、繰り返し執行停止を要請してきたが、今回の死刑の執行は、全社会的な議論が尽くされるどころかその方針も立てられず、また議論の前提となる情報も提供されないまま、死刑の執行が再開されたものである。今こそ、死刑の執行を停止した上で、政府が死刑に関する情報を広く国民に公開し、広く国民的な議論を行うべきである。
 当会は、死刑執行を停止し、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを重ねて求めるものである。

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