東電女性社員殺害事件 再審 控訴棄却判決にあたっての会長声明

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更新日:2012年11月07日

2012年(平成24年)11月7日
第二東京弁護士会会長 橋本  副孝
12(声)第6号

 本日、東京高等裁判所第4刑事部は、ゴビンダ・プラサド・マイナリ氏にかかる「東電女性社員殺害事件」の再審控訴審において、検察官の控訴を棄却する旨の判決を言い渡した。
 本件は、当弁護士会が当番弁護士を派遣して以来、公判段階でも、刑事弁護援助事件に指定して、経費を援助するなど、一貫して弁護団の活動を支援してきた事件である。
 これで、起訴以来、15年6ヶ月余りを経て、ようやくマイナリ氏の無罪が確定することとなる。
 しかし、これまで、長期間に亘るマイナリ氏の苦労を想うと、本日の判決を手放しで喜ぶことはできない。
 第一審の無罪判決にかかわらず、本件がこのような長期に亘ったのは、無罪判決に対する控訴提起やその後の不合理な有罪主張を維持し続けてきた検察官の対応に原因があり、その意味では、無罪判決に対する検察官上訴や無罪判決後の勾留及び証拠開示のあり方等刑事司法制度が抱える問題点が浮き彫りとなった事件ともいえる。
 今後、第三者機関によって、えん罪原因を究明しその問題点を明らかにする調査がなされる必要があるが、加えて、これを契機に、改めて、検察官上訴の是非、証拠開示の拡充、再審請求権の在り方などにつき、再検討することが望まれるところである。
 当弁護士会もその先頭に立って、あるべき刑事訴訟の実現に向けて、なお一層、尽力する所存である。

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