特定秘密の保護に関する法律案の強行採決に抗議する会長声明

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更新日:2013年12月11日

2013年(平成25年)12月11日
第二東京弁護士会会長 山岸 良太
13(声)第16号

 2013年12月6日、特定秘密保護法案が参議院の本会議で強行採決された。同法案が11月26日に衆議院で強行採決されてから、僅か10日にも満たない審議日数で、民主主義と国民主権に抵触しかねない重大な法案を議決するなど、明らかに審議不十分というほかない。参議院特別委員会での審議の過程でも、報道機関への適用関係、第三者機関の監視体制の欠如などの欠陥が次々と明らかにされ、そのたびに審議が混乱し、政府の答弁が二転三転したり、指摘を受けた首相が法案に記載のない第三者機関の設置を言い出すなど、本法案が十分な準備のされないままに国会に提出され、審議が不十分であったことが明らかになった。
 
 この間、報道機関、日弁連を初めとする弁護士会、労働組合、市民団体、学者・研究者など、世論調査でも多くの国民が、反対若しくは慎重審議を求める状況であった。当弁護士会でも、これまで3回にわたり秘密保全法制の危険性を指摘し、廃案ないし慎重審議を求める会長声明を発出している。

 上記第三者機関の設置については、自由民主党、公明党、みんなの党、日本維新の会の4党の合意で、1年後の法施行までに情報保全監察室を内閣府に設置して、秘密の指定や指定解除の適切性の検証と是正勧告、秘密指定解除後の文書破棄の判断を行うとされた。加えて、内閣官房に保全監視委員会を設置し、運用を監視するとした。しかし、政府内部での独立性の保障のない機関を第三者機関ということはできない。
 結局同じ行政機関の設定した秘密について行政内部での追認が行われるに過ぎないと懸念される。このような未解決な論点があるにもかかわらず、十分に議論せず、かつ、法案を強行採決することは到底認められない。多くの国民の声に全く耳を傾けることなく、数の力で強行採決した後も、新聞調査では7割以上の国民が同法の施行に懸念を示している。
 
 当弁護士会は、このように国民主権や重大な憲法上の権利の侵害をもたらす特定秘密保護法について、国民の声を無視したような強行採決に強く抗議し同法の廃止を求めるとともに、公文書管理法や情報公開法の改正等により、知る権利を尊重する社会を実現するべく努力する所存である。

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