参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明

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更新日:2014年11月27日

2014年(平成26年)11月27日
第二東京弁護士会会長 山田 秀雄
14(声)第11号

 11月26日、最高裁判所は、平成25年7月21日に施行された第23回参議院議員通常選挙(選挙区選出議員選挙)に対する選挙無効請求訴訟において、平成24年の法改正後も違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったが、本件選挙までの間に同規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず、憲法に違反するに至っていたということはできないとの判決を言い渡した。いわゆる違憲状態判決である。

 第23回参議院議員通常選挙においては、選挙区間における議員1人あたりの選挙人数の最大較差は1対4.77(一票の価値が最も低い選挙区では0.21票)であり、平成24年10月27日大法廷判決により違憲状態にあると判断された第22回参議院議員通常選挙(最大較差5.00倍)と投票価値の不平等はほぼ変わらなかった。にもかかわらず、最高裁判所が「本件定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとは言えない」として、無効判決を下さなかった点については、失望を禁じ得ない。

 本判決には、6名の補足意見と4名の反対意見が付されている。反対意見はいずれも違憲との判断を示すものであるが、とりわけ山本判事は投票価値の平等を「他に優先する唯一の絶対的基準」と論じ、違憲一部無効判決を示すべきとの意見であり、鬼丸判事は、投票価値につき「できる限り1対1に近い平等」を憲法は保障しているとして、事情判決の法理を用いることなく違法宣言判決を下すべきとの意見である。5名の補足意見はいずれも「違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題」とし、千葉判事は「平成24年改正法附則3項」により、国会は「立法的措置を講じ、違憲状態を解消する対応を採ることが法的に義務付けられている」とするなど、国会が次の選挙まで現状を放置し、または弥縫策に止めることがあれば、違憲状態判決はとりえないことを示唆している。15名の最高裁判事のうち総計10名がこのような意見を述べていることを、国会は厳粛に受け止めるべきである。

 当弁護士会は、従前から一貫して、投票価値の平等を実現するよう、国に求めてきたものであるが、改めて、本判決の趣旨を踏まえ、直ちに公職選挙法を改正し、上記趣旨に沿った適正な選挙制度を構築することを求めるものである。

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