夫婦同姓及び再婚禁止期間等民法の差別的規定の早期改正を求める会長声明

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更新日:2015年02月26日

2015年(平成27年)2月26日
第二東京弁護士会会長 山田 秀雄
14(声)第16号

 最高裁判所は、本年2月18日、男女5人が夫婦同姓を定める民法750条が違憲であり女性差別撤廃条約に違反するとして国に損害賠償を求めた訴訟の審理を大法廷に回付し、さらに、同日、女性のみに6か月の再婚禁止期間を定める民法733条が違憲であるとして女性が国に損害賠償を求めた訴訟についても、審理を大法廷に回付しました。
 日本政府は、国連の自由権規約委員会及び女性差別撤廃委員会から、上記民法750条及び女性について離婚後6か月以内の再婚を禁止する民法733条のほか、婚姻適齢について男女の差を設けている民法731条について、繰り返し懸念を表明され、これらの女性差別的規定の改正に向けて早急な対策を講じるよう要請されています。そして、平成8年には、当時の法務大臣の諮問機関である法制審議会が、選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を答申したものの、現在に至るも法律改正は実現していません。
 現状では、夫婦同姓の原則のもと、ほとんどの女性が結婚に際し改姓を余儀なくされ、職業上・社会生活上様々な不利益・不都合を被っています。真の両性の平等と男女共同参画社会を実現する上で、夫婦同姓の強制は、早急に見直す必要があります。また、女性のみを対象とする再婚禁止期間については、科学技術の発達が目覚ましい今日、その立法事実はもはや失われたというべきであり、撤廃が強く求められます。
 当弁護士会は、2013年12月に削除された婚外子の相続分を婚内子の相続分の2分の1と定めた民法900条4号ただし書前半部分の改正のほか、民法731条、同733条及び同750条の改正を多年にわたり求めてきました。これらの条文を改正する民法改正案要綱を法制審議会が答申してから実に19年が経過しており、立法の不作為がその裁量を超えるものであることは明白です。
 最高裁判所には、国民一人一人の人権保障のために付与された違憲立法審査権を積極的に行使し、国会の立法不作為によって放置されている人権制約が、憲法及び条約に反するとの判断を示すよう期待します。
 さらに、国会には、司法判断を待たず、立法不作為を改め、民法の差別的規定を改正するよう強く求めます。

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