特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案の早期成立を求める会長声明

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更新日:2016年05月02日

2016年(平成28年)5月2日
第二東京弁護士会 会長 早稲田 祐美子
16(声)第1号

 2016年(平成28年)3月4日、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案が国会に提出された。同法律案は、内閣府消費者委員会の特定商取引法専門調査会が昨年12月に取りまとめた報告書(以下「本件報告書」という)の内容を踏まえ、同委員会が本年1月7日、内閣総理大臣に対し、特定商取引に関する法律の規律の在り方について、必要な事項について法改正による対応、政省令の改正による対応等を求めた答申を受けたものである。
 同法律案は、本件報告書において挙げられていた「措置すべき具体的な事項」を踏まえ、①指定権利の見直し、②承諾をしていない者に対する通信販売ファクシミリ広告の提供の禁止等、③電話勧誘販売に係る通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込みの撤回等の制度の創設、④指示制度の整備、⑤業務停止命令制度の強化、⑥業務禁止命令制度の創設、⑦訪問販売等における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消制度の整備、⑧報告徴収及び立ち入り検査権限の拡充・整備、⑨送達制度の整備、⑩罰則の引上げ等について特定商取引法の改正をする内容となっており、高く評価されるべきものである。国会審議においては、消費者保護の見地から上記法律案を一歩も後退させることなく成立させるべきである。
 なお、特に上記⑤、⑥、⑧、⑩等、所轄官庁による法執行の強化のための法改正は、悪質事業者が後を絶たない現状を変えうるものであるので、法改正後の適切な運用が強く望まれる。
 また、本件報告書に記載された「措置すべき具体的な事項」の中には、①契約代金の支払いのために一定のクレジット契約・金銭借入れ・預貯金の引出しを勧める行為等を規制すること、②訪問販売に関してアポイントメントセールスにおける来訪要請手段としてSNS・電子公告を規制対象とすること、③一定の美容医療契約を特定継続的役務と位置づけること、④虚偽報告や検査忌避等が行われたことを理由に行政処分ができるようにすること、⑤立入検査の対象となる「密接関係者」の範囲を広げること等政省令の改正が必要なものがある。これらについても速やかに必要な政省令の改正がなされるべきである。
 一方、本件報告書及び上記法律案では導入が見送られた、訪問販売及び電話勧誘販売における事前拒否者への勧誘禁止制度(いわゆる「Do-Not-Call、Do-Not-Knock制度」。)については、当弁護士会の2015年(平成27年)7月17日付の意見書にある通り、消費者被害の実情に鑑み、早急に導入すべきものであることから、速やかにその必要性を裏付ける立法事実を確認の上で、同制度の導入が図られるべきである。

特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案の早期成立を求める会長声明(PDF)

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