生活保護基準について一切の引下げを行わないよう求める会長声明

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更新日:2018年03月02日

2018年(平成30年)3月2日
第二東京弁護士会 会長 伊東 卓
17(声)第11号

 厚生労働省が2017年12月8日の第35回社会保障審議会生活保護基準部会において2018年度から生活扶助基準本体や母子加算を大幅に引き下げる案(以下「厚労省案」という。)を示したことに伴い、2018年度予算案において、厚労省案の生活保護基準引き下げを前提とした予算が審議される見込みとなっている。
 厚労省案によれば、子どものいる世帯の生活扶助費は、都市部の夫婦子2人世帯で13.7%(2万5310円)も大幅削減され、母子加算が平均2割(都市部で2万2790円の場合4558円)、3歳未満の児童養育加算(1万5000円)が5000円削減され、学習支援費(高校生で5150円の定額支給)が廃止される可能性がある。また、高齢(65歳)世帯の生活扶助費は、都市部の単身世帯で8.3%(6600円)、夫婦世帯で11.1%(1万3180円)、それぞれ大幅削減される可能性がある。
 かかる引き下げが実行されれば、2004年からの老齢加算の段階的廃止、2013年からの生活扶助基準の削減(平均6.5%、最大10%)、2015年からの住宅扶助基準・冬季加算の削減に引き続く大規模な引き下げとなる。更なる生活保護基準の引下げは、これまでの度重なる生活保護基準引下げによって既に「健康で文化的な生活」(憲法25条1項)を維持し得ていない生活保護利用者を更に追い詰め、市民生活全般の地盤沈下をもたらすものであり、容認できない。

 よって、当弁護士会は、厚労省案の撤回とともに、本年末に向けての来年度予算編成過程において、一切の生活保護基準の引下げを行わないよう求める。

生活保護基準について一切の引下げを行わないよう求める会長声明(PDF)

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