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高齢者・障がい者の生活上のトラブル

り~なさん
高齢者・障がい者の生活上のトラブルについての、よくあるご質問です。
ご相談の前に、ご確認ください。

【年金の種類】高齢者・障がい者の年金にはどのようなものがあるのでしょうか。
高齢者の年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金及び老齢共済年金があります。障がい者の年金は、障害基礎年金、障害厚生年金及び障害共済年金があります。
基礎年金はすべての国民に共通するものですが、民間企業および団体で勤務していた方に対する厚生年金、ならびに官公庁および私立学校で勤務ていた方に対する共済年金は、基礎年金に上乗 せする形で年金が支給されることになっており、二階建ての年金給付のしくみをとっています。なお、老齢福祉年金というものもあります。生年月日が大正5年4月1日以前の方に支給されている年金は、これにあたる場合があります。詳細は、お近くの年金事務所にお問い合せください。
【介護保険】介護保険とはどのような制度なのでしょうか。
介護保険とは、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みのことです。65歳以上で介護や支援が必要な方や、40~64歳で末期がん・関節リウマチなどの老化による病気が原因で介護や支援が必要になった方は、所得にかかわらず利用料の1割を負担して介護サービスを受けることができます(残りの9割は、介護保険料や税金で賄われます。)。
介護保険で利用できるサービスの内容は、介護が必要な程度によって決まっており、市町村から認定を受ける必要があります。どの程度の介護が必要かの目安として、軽い順に「要介護1」~「要介護5」までの5段階が定められており、要介護度によって利用できるサービスの量が決まっています。また、要介護状態になる可能性が極めて高い状態として「要支援」という段階があり介護予防サービスの利用が可能です。
利用される際には、市町村の相談窓口や、居宅介護支援事業所、在宅介護支援センターに一度相談してみてください。
【福祉サービス利用契約】福祉サービスを利用する契約を締結する場合、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
福祉サービス契約で決めるべき最低限の事項は、サービスの内容と利用料です。
その他にサービスの提供にあたって発生が予想される事項について定めるとトラブル防止となります。例えば、契約の有効期間・利用料(自己負担部分)の支払方法、ケアプランの変更やキャンセルの方法、ヘルパーの交代の取り扱い、解除権発生事由、病気・事故の場合の対応です。
契約の内容を明確にするためにも書面にし、また契約内容について充分に説明を受け理解した上で契約するよう留意する必要があります。
利用者の権利が制限される場合や利用者の義務について、誤解のないよう説明を受け十分理解することが必要です。またよりよいサービスを受けるには、よい事業者を選択する必要もあります。事業者の実績や専門家がどれだけいるのかなどあらかじめ調べておくとよいでしょう。
【生活保護】年金だけでは生活が苦しく、仕事も見つかりません。身内から援助してもらうのも難しい状況です。どうすればよいでしょうか。
働く能力・収入・資産がなければ、生活保護を受給して不足分を補うことが考えられます。窓口は福祉事務所ですので、役場にお問い合わせください。なお、福祉事務所に相談に行っても、「子どもさんに援助してもらって」「もう少し仕事探してみたら」などといって、申請用紙すら渡さずに追い返してしまう、「水際作戦」と呼ばれる対応をされる事例があります。そのような対応は違法ですので、もしもそのような対応をされたときは、お近くの弁護士会に相談してください。弁護士が同行して申請することが可能です。弁護士費用は無料になる場合もあります。生活保護の申請はしたものの却下されてしまったというような場合も、審査請求や行政訴訟等の手段がありますので、弁護士会に相談してみてはいかがでしょうか。
【訪問販売】母が訪問販売で床下調湿剤なるものを大量に購入していました。支払額も250万円もする高額なものでした。契約を解約したいのですが。
すぐに、クーリング・オフ(無条件で契約を解除できる制度)の通知を書面で出してください。訪問販売の場合、契約書を受け取ってから8日以内という制限がありますが、契約書の不備やクーリング・オフ妨害があれば、8日間を過ぎていてもクーリング・オフは可能です。違約金を支払う必要はありません。商品の引き取り費用は業者が負担し、既に払ってしまったお金を返してもらうことができます。
クーリング・オフができない場合であっても、事業者が契約を勧誘した時に、事実と異なることを話したり、大事なことを告げていなかった場合、契約の取消しを主張することができます。また、契約について思い違いがあったとして、契約が無効であると主張することもできます。だまされて契約を締結した場合は、詐欺による契約の取消しを主張することができます。
さらに、訪問販売において、日常生活に必要な分量を著しく超える商品を購入した場合は、契約から1年以内であれば、契約を解除することができます。1年を過ぎてしまっても、消費者契約法による取消しや不法行為に基づく損害賠償請求ができる場合もあります。
判断能力が不十分な方の場合、成年後見制度(成年後見・財産管理Q2参照)を利用していれば、簡単に契約を取り消すことができた可能性があります。今後のために成年後見制度の利用も検討した方がよいでしょう。
以上のような手続を行うときは、個別のケースに応じて適切な方法が変わってくることもありますので、「ゆとり~な」の常設相談などを利用してご相談ください。消費者被害については消費生活センター、成年後見制度については地域包括支援センターの無料相談を利用することも考えられます。
【投資取引被害】父は5年ほど前に定年退職しましたが、最近、自宅にいろいろな人から電話がかかってきているようです。どうやら未公開株やら社債やらのもうけ話の勧誘を受けているようです。私が尋ねてもはっきりしたことは言わないのですが、いくらかお金を振り込んでしまっているようです。どうすればいいでしょうか。
低金利の時代が続くと、年金だけで生活している高齢の人にとっては、将来の生活への不安も生じてきます。悪質な業者がもうけ話をもちかけ、勧誘して、高齢者が被害に遭うケースが増えています。中には、以前受けた被害を回復するための新たな勧誘により再度被害に遭うケースもあります。
業者が未公開株などの金融商品を取り扱うには内閣総理大臣の登録が必要で、登録されている業者かどうかは金融庁のホームページで確認することができます。無登録業者による未公開株などの売りつけは、犯罪ですし、売買は無効になります。また、登録業者による詐欺行為も多数問題となっていますから、上記ホームページ等で登録が確認できたとしても、それだけで信用してしまわないように注意してください。
「値上がり確実」、「必ずもうかる」などと言ってくるケースもありますが、そのようなうまい話はありませんので、絶対に断るべきです。既にしてしまった契約については、詐欺や不確実なことについて断定的な判断を提供されたなどとして、契約を取り消すことが考えられます。
このような手続を行う際には、個別のケースに応じて適切な方法が変わってくることもありますので、「ゆとり~な」の常設相談などを利用してご相談ください。消費生活センターの無料相談を利用することも考えられます。高齢者本人が騙されていることに気づかない場合、あるいは騙されていることを認めたがらない場合も多く見られますが、ご本人に、詐欺にあったのだということを説明し、相談に向かわせることが大切です。
なお、このような悪質業者は、時間が経つと行方が分からなくなるなど被害を回復することが難しくなることが多いので、早めのご相談をおすすめします。
【高齢者や障がい者の虐待】高齢者や障がい者の虐待を発見した場合にはどうしたらよいですか。また、虐待に対しどのような対応がされますか。
平成18年4月1日から高齢者虐待防止法が、平成24年10月1日から障害者虐待防止法が、それぞれ施行されています。身体的虐待(暴力など)、ネグレクト(食事を与えないなど)、心理的虐待(暴言など)、性的虐待(わいせつな行為など)、経済的虐待(お金を渡さないなど)のいずれかを受けたと思われる高齢者・障がい者を発見したときは、市町村の高齢者虐待対応窓口や障がい者虐待対応窓口等に通報しなければならないことになっています。
通報を受けた市町村は、家庭における養護者による虐待であれば、高齢者・障がい者の安全確認や虐待の事実確認をしたり(警察の援助を受けて立入検査をすることもあります。)、一時的に高齢者・障がい者を保護するため施設に入所させたり、判断能力の不十分な高齢者・障がい者の成年後見人を選任するよう家庭裁判所に申立てをしたり、虐待に及んでしまった養護者を支援して虐待のない環境づくり等を検討することになります。施設等の職員による虐待であれば、監督権限を使って、立入調査等による事実確認や勧告・指定取消等の処分を検討することになります。職場で雇主が障がい者に虐待を行っている場合は、労働基準監督署などが労働基準法などに基づく権限の行使を検討することになります。
いずれの場合も、通報先は、市町村の高齢者虐待対応窓口や障がい者虐待対応窓口で結構ですので、速やかに通報してください。
【介護事故】私の母は軽い認知症があり、数年前から有料老人ホームに入所して生活しています。昨日、ホームから「転んで大腿骨を骨折してしまい、病院に緊急入院することになった」という連絡を受けました。有料老人ホームの見守りが十分でなかったことが原因ではないかと思うのですが、ホームに入院費を請求することはできますか。また、ホームに確かめておいた方がよいことがあれば教えてください。
有料老人ホームをはじめとする高齢者の施設は、介護サービス等を提供するにあたり、利用者の生命、身体、財産などの安全に気を使わなければならない義務を負っています(一般的に「安全配慮義務」と呼ばれています)。そのため、施設は、利用者の心身の状況について、利用者が抱えている問題を詳しく調べ、どのような支援をするのかよいか、今行われている支援が正しいかを評価(アセスメント)し、その評価を基にいろいろな対応をしなければなりません。
もし、介護事故が起こった理由が、利用者が抱える問題を調べていなかったり、問題に対する対応が十分でなかったりするような場合には、施設は、利用者に対し責任を負わなければならない、ということになります。したがって、まずは、施設に対し事故の状況、原因、アセスメントの中身などについて十分に説明をしてもらってください。施設は、介護事故が発生した場合、市町村に対し、事故報告書を作って提出しなければならないルールになっていますので、事故報告書を見せてもらったり、報告書の写しを求めてみてください。施設に対する請求の中身としては、入院費や慰謝料などの金銭の賠償と事故の再発防止の請求が考えられます。施設が金銭賠償をする場合、ふつうは、施設が入っている保険で支払われます。もし、施設から提示された金額に疑問がある場合には近くの弁護士に相談してみてください。
【高齢者の住まい】高齢になり、1人暮らしではいろいろ不便を感じるようになりました。そこで、現在の住居から、どこか施設等に入りたいと思うのですが、いろいろあるようでよくわかりません。
高齢者が住み慣れた自宅を離れて、高齢者のための居住場所(住まい)を探す場合、住居系と施設系があります。
住居系には、サービス付き高齢者向け住宅、シルバーハウジングなどがあり、自宅と施設の中間的な位置づけとなっています。
施設系には、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、老健(介護老人保健施設)、ケアハウス(軽費老人ホーム)、認知症対応型グループホーム、介護療養病床、有料老人ホームがあります。
このように、高齢者の住まいは現在多くの種類があり、非常にわかりにくくなっています。事業者と契約をする場合には、どのようなサービスや住環境が提供されるのかなど、契約書、重要事項説明書をよく確認することが必要です。また近時は、未届け施設問題(有料老人ホームとして都道府県に届け出る義務があるにもかかわらず、届出をしていない施設)や、有料老人ホームにおける入居一時金の返還に関するトラブル等の施設とのトラブルも報告されています。
適切な住まいを探すには、ケアマネジャーや市町村、ホームロイヤーなど、様々な支援者・支援機関と相談したり、実際に施設を見学するなどして情報収集をすることが重要です。