声明

2006/11/16

教育基本法の「全部改正」案衆議院通過に抗議する声明

2006年(平成18年)11月16日
第二東京弁護士会 会長 飯田 隆

 自民党・公明党の与党は、昨日、教育基本法の「全部を改正する」法案(以下、「全部改正」案という)について、衆議院教育基本法特別委員会において与党単独で採決を強行し、さらに、本日衆議院本会議でも与党単独で採決を強行した。

 当会は、本年5月30日会長声明により、教育基本法の「全部改正」案に反対するとともに、政府と国会に対し、審議にあたり法案の取り扱いに慎重を期すことを強く要望してきた。また、本年10月11日には、「教育基本法の『全部改正』案についての緊急意見書」を発表し、政府により上程された現行教育基本法の「全部改正」案は、子どもたちをめぐる諸問題の解決に結びつかず、逆に子どもたちの管理を強め、子どもの内心も規制して子どもの権利を空洞化する危険性を有すること、時の政治権力が教育内容を統制して教育現場の自主性・自律性を奪うことにつながりかねないことを指摘してきた。

 教育における準憲法的性格を有する教育基本法の改正にあたっては、立法事実の存在等の冷静な検証と十分な論議がなされなければならず、時の政治的スケジュールの都合のみによって扱われてはならないことは論を待たないところである。

 しかるに、特別委員会における審議においても、当会の指摘した問題点は解消されないままである。さらに、この間、子どもたちのいじめを苦にした自殺が広がるなどの問題、単位未履修問題、政府主催のタウンミーティングでの「やらせ・さくら」問題など、論議を深めるべき問題が新たに発生してきた。昨日の委員会採決は、こうした問題の解明のためさらなる審議継続を求める野党各党の要求を拒否して、審理を打ち切って強行されたものである。

 当会は、十分な審議を尽くさずになされた衆議院での採決強行に抗議するとともに、参議院における審議においては、慎重な審議を尽くされたうえ、現在の法案には反対であり廃案とされることを強く要望するものである。

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