コラム

人生100年時代を迎えるにあたって

日本では少子高齢化が進んでいます。日本の人口は、江戸時代のころにようやく全国で1000万人程度になり、明治維新のころでも3000万人ほどだったそうです。その後に爆発的に人口が増え、2010年にピーク(1億2800万人)となり、現在は人口が減少しています。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、2060年には人口が8674万人程度にまで減少するといわれています。

上記の予測が当たるかどうかはわかりませんが、これから少子高齢化が加速していくとしても、健康で充実した人生を全うしたいという願いは誰しもが抱くものと思います。

ところで、「健康寿命」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。健康寿命とは日常生活に制限なく健康に生活できる期間のことをいいます。それに対して、「平均寿命」とは生まれてから亡くなるまでの期間をいいます。2019年の厚労省の報告書によると、男性の平均寿命と健康寿命の差は8.84歳、女性は12.35歳の差があるそうです。また、要介護2以上の期間は、男性では1.5歳程度、女性では4歳程度あります。これからは人生100年時代とも言われますが、平均寿命が延びると、サポートが必要な期間もさらに増えていくと予想されます。

そのため、あらかじめ元気なうちから老後の準備をしていこうという考え方が広まりつつあります。老後の準備というと、遺言書を書くことをイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、遺言書はあくまでもご自身が亡くなった後になってからはじめて効力が生じるものです。ご自身の老後の生活のためには、遺言書の作成とは別の準備をしておく必要があります。

そのための代表的な仕組みとして、任意後見契約というものがあります。任意後見契約とは、元気なうちに、将来に判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ信頼できる人に代理権を付与しておくというものです。代理権の効力は、判断能力が実際に低下したときから始まります。つまり、任意後見契約は、信頼できる人に、将来、後見人になってもらうことを予約しておくという制度といえます。

委託できる事務としては、お金の管理、不動産の管理や売却、年金などの手続き、家賃や公共料金などの支払、生活費の送金や日用品の購入、施設や福祉サービスの契約の代理など様々なものがあります。その他にも、お亡くなりになったときのご葬儀の方法などを、あらかじ定めておく方もいらっしゃいます。

老後の準備はまさにオーダーメイドです。お気軽に弁護士にご相談ください。