コラム

高齢者の消費者被害見守りネットワーク

高齢者に対する悪質商法などの消費者被害が止まりません。 報道によると、2014年1月から11月までのオレオレ詐欺などの特殊詐欺被害は498.7億円、過去最高ペース更新見込みとのことですが、被害者のほとんどは、比較的お金があり、身体能力や判断能力が低下した高齢者であって、悪質商法のターゲットになっています。 老後のために貯めてきたお金があっという間に無くなってしまう悲惨かつ大変深刻な事態が毎日のように至るところで生じているのです。

このような悪質商法を何とか防ごうとこれまでも様々な対策がとられていますが、ご承知のとおり、お金を支払った後に取り戻すことはきわめて困難です。 業者の所在が分からなかったりして被害回復はほとんど叶いません。

そのため、被害にあわないよう注意喚起し、また、お金を渡す前に被害を早期発見することが対策として最も有効な方法とされています。

そして、地域包括支援センター、介護サービス事業者、社会福祉協議会など、地域でご本人を身近に支援している福祉関係者の皆さんが、そのような被害や兆候を最も早期に発見できる立場にあり、皆さんがキーマンとなって高齢者の見守りをすることが、被害防止のために最も効果があると言われています。

しかしながら、発見してもそれが悪質商法であると認識できなかったり、どこに相談すればよいか分からなかったり、本人が相談に消極的であったり、どのように対応したらよいか分からないことも少なくありません。

また、繋がる先であるはずの自治体や弁護士会も、福祉部門と消費者部門が縦割りになっていて、情報の共有や連携がうまくいかなかったり、金銭的な解決が中心で、解決後に福祉につなげて次の被害を防止することまで手が回らなかったりする等、解決機関としての役割を十分に果たせていない現状もあります。

そこで、今般、第二東京弁護士会をはじめとする東京の3つの弁護士会は、共同して、どのように地域での見守りを強化していったらよいか、自治体、福祉関係者、弁護士会がそれぞれどのような役割を果たし、連携すればよいか等の検討を都内の自治体に働きかけることにし、2014年12月、各自治体宛てに「高齢消費者の見守りネットワークの整備・充実に関する要望書」を出し、現在、各自治体と意見交換をして対応を協議しています。 皆さんの自治体にも、弁護士会から連絡が行っていると思いますので、是非、関心を持って頂き、高齢者の見守りネットワーク構築についてご協力頂きますよう、宜しくお願いします。